【わかりやすく】1973年の老人医療費の無料化を解説

社会福祉士・合格問題編
皆さん、こんにちは!いっちー教授(@free_fukushi)です。
今回も社会福祉士国家試験の合格に向けて一緒に勉強していきましょう!今回のテーマは、これですね。「【わかりやすく】1973年の老人医療費の無料化を解説」←こういったテーマでお送りしていきます。では、授業を始めていきましょう。
いっちー教授
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今回の授業で解けるようになりたい問題

問)次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

 

1.1963年の老人福祉法制定時、親を老人福祉施設に入所させるべきという社会的風潮が強かった。

2.1973年の老人福祉法の改正に伴い、60歳以上高齢者の医療費自己負担分を無料化するという政策が実施された。

3.社会的入院の背景には、親を老人福祉施設へ入所させることに対する世間からの非難があり、老人福祉施設に入所させるより病院に入院させた方がよいのではないかという考え方があった。

4.高齢者の社会的入院に伴う二次的な障害は一切見つかっていない。

5.2021年現在、患者や家族が望まない長期入院を余儀なくされるといったケースは一切存在しない。

 

答え)3.社会的入院の背景には、親を老人福祉施設へ入所させることに対する世間からの非難があり、老人福祉施設に入所させるより病院に入院させた方がよいのではないかという考え方があった。

 

以下では、上記の問題の解答の根拠と社会福祉士国家試験に出題されそうな箇所を重点的に解説していきます!
いっちー教授
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にゃー吉
にゃー吉
はーい!お願いします!(笑)

 

1限目:老人福祉法制定時の社会的風潮

まず、選択肢「1」の解答の根拠について確認していきましょう。
いっちー教授
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1.1963年の老人福祉法制定時、親を老人福祉施設に入所させるべきという社会的風潮が強かった。

*この選択肢は、不正解です。

 

正しくは、「1963年の老人福祉法制定時、親を老人福祉施設に入所させてはいけないという社会的風潮が強かった。」です。かつての日本では、多世代同居という形態が一般的でした。

 

多世代同居とは、子世代が住宅を取得し親世代と同一の住宅に居住することを指します。
いっちー教授
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この形態の下では、高齢者の世話は家族、とりわけ「主婦」の仕事だと考えられていました。しかし、こういった社会的風潮の中で1963年に老人福祉法が制定され、老人福祉施設の設置、健康診断の実施、社会参加の奨励が盛り込まれ、新たに特別養護老人ホームと軽費老人ホームが設置されるようになりました。

ところが、当時、「親を老人福祉施設に入所させることは、やってはいけない。」という社会的風潮があったため、老人福祉施設の設置が進んでからも、それらを十分に活用するという家族は少なかったと考えられています。

 

2限目:老人医療費の無料化の対象者

次に、選択肢「2」の解答の根拠について確認していきましょう。
いっちー教授
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2.1973年の老人福祉法の改正に伴い、60歳以上高齢者の医療費自己負担分を無料化するという政策が実施された。

*この選択肢は、不正解です。

 

正しくは、「60歳以上高齢者の医療費自己負担分を無料化する」という文言を「70歳以上高齢者の医療費自己負担分を無料化する」に直せば正解です。

初めは、東京都と秋田県が1969年に老人医療費の無料化を導入していました。そして、その他の地方自治体も追随したため、政府は老人福祉法を改正し1973年から老人医療費の無料化を実施することとなりました。また、この老人医療費の無料化の対象者は、「70歳以上(寝たきりの場合は65歳以上)の高齢者」に限定していました。

 

3限目:社会的入院の背景

次に、選択肢「3」の解答の根拠について確認していきましょう。
いっちー教授
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3.社会的入院の背景には、親を老人福祉施設へ入所させることに対する世間からの非難があり、老人福祉施設に入所させるより病院に入院させた方がよいのではないかという考え方があった。

*この選択肢は、正解です🌸

 

さきほども確認したように、当時日本では「親を老人福祉施設に入所させることは、やってはいけない。」という社会的風潮がありました。しかし現実問題、家族の中で年老いた高齢者の世話をするのにも限界がありました。

そこで、考えられたのが「親を病院に入院させればよい」という考え方です。そうすることによって、年老いた家族の世話を家族でもなく、老人福祉施設でもなく、病院でやってくれるという仕組みが誕生しました。これが、いわゆる「社会的入院」です。

 

「親が老人福祉施設に入所している」というより、「親が病気で、病院に入院している」といった方が世間体としては悪くありませんからね。
いっちー教授
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そして病院側としても、老人医療費の無料化に伴い、高齢者を長期的に入院させることで一定の収入を得るという仕組みが整いました。



4限目:社会的入院がもたらした弊害

次に、選択肢「4」の解答の根拠について確認していきましょう。
いっちー教授
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4.高齢者の社会的入院に伴う二次的な障害は一切見つかっていない。

*この選択肢は、不正解です。

 

高齢者の社会的入院は、長期入院による心身機能の障害である「廃用症候群」を引き起こしました。

 

廃用症候群とは、病気による一次的な障害ではなく、長期の安静臥床など、日常生活が不活発になることで引き起こされる心身機能の二次的な障害のことを指します。
いっちー教授
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つまり社会的入院の下では、一日中ベッドの上で過ごさせるといった行為が横行していたと考えられます。その結果、入院している高齢者の多くが、筋力が衰え、歩行が困難になり、「関節拘縮」「褥瘡」「認知症」などを発症させていたと考えられます。

また、医療費の支払い方法は「出来高払い」という仕組みを導入していました。つまり、投与した薬の量や検査の回数が多ければ多いほど、病院側が儲かる仕組みになっていました。そのため、社会的入院の下では「薬漬け」「検査漬け」と呼ばれる過剰医療が実施されていたという過去があります。

 

5限目:現在も続く、社会的入院

次に、選択肢「5」の解答の根拠について確認していきましょう。
いっちー教授
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5.2021年現在、患者や家族が望まない長期入院を余儀なくされるといったケースは一切存在しない。

*この選択肢は、不正解です。

 

現在でも高齢者が長期入院を余儀なくされるといったケースは存在します。これにより、患者や家族が望まない医療が行われる場合も少なくないと考えられています。

例えば、自分で食事の摂取できない高齢者に胃瘻(いろう)を増設することや、認知症になった高齢者が亡くなるまで長期間、精神病院で入院させるといった場面も少なくありません。

 

今回の授業の振り返り

では最後に、今回の授業の振り返りをしていきましょう。

 

1.1963年の老人福祉法制定時、親を老人福祉施設に入所させてはいけないという社会的風潮が強かった。

2.1973年の老人福祉法の改正に伴い、70歳以上高齢者の医療費自己負担分を無料化するという政策が実施された。

3.社会的入院の背景には、親を老人福祉施設へ入所させることに対する世間からの非難があり、老人福祉施設に入所させるより病院に入院させた方がよいのではないかという考え方があった。

4.高齢者の社会的入院に伴う二次的な障害は多かったと考えられる。

5.2021年現在、患者や家族が望まない長期入院を余儀なくされるといった場面は少なくない。

 

社会福祉士国家試験では、老人医療費の無料化に関する問題が出題される場合があります。なので、早い段階でこれらの内容についてはしっかり押さえておきましょう。
いっちー教授
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最後に

福祉イノベーションズ大学では、これからも社会福祉士国家試験の合格に役立つ情報を発信していきます。「参考書や問題集を解いたけど、よくわからない…。」という方は、今後も参考にしてください!また、今回の記事が「いいな~」と思った方は、ブックマークTwitterのフォローをよろしくお願いします!

今回の授業は、以上です🌸



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