今日も社会福祉士国家試験の合格に向けて一緒に勉強していきましょう!今回のテーマは、「【わかりやすく】ウェーバーの支配類型と具体例を解説」です。では、授業を始めていきましょう。
*今回の記事の構成として、初めにウェーバーの支配類型に関する基本問題を出題します。その後、問題の解答解説を行い、理解が深められる構成になっています。
問)次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1.ウェーバーによれば伝統的支配とは、過去に制定された法に基づく支配体制である。
2.ウェーバーによれば、家父長制的支配とは、ある私的な関係に限って認められたルールに基づく支配体制である。
3.ウェーバーによれば、官僚制による支配とは、権力者の恣意的な判断や決定による支配体制である。
4.ウェーバーによれば、カリスマ的支配とは、非日常的な資質の持ち主によって成立する支配体制である。
5.ウェーバーによれば、合法的支配とは、支配者が被支配者を抑圧し、黙らせるための手段として用いられるが、支配者自身はその法の支配から自由であるものをいう。
答え)4.ウェーバーによれば、カリスマ的支配とは、非日常的な資質の持ち主によって成立する支配体制である。
なので、それぞれの支配類型が何を意味するのかを押さえておきましょう。
1限目:伝統的支配は権威者を中心に構成される
まず、伝統的支配とはどのような支配類型なのかについて確認しておきましょう。
選択肢の「1」に注目してください。
1.ウェーバーによれば伝統的支配とは、過去に制定された法に基づく支配体制である。
この選択肢は、不正解です。
そもそも、ウェーバーは、「合法的支配」、「伝統的支配」、「カリスマ的支配」の3つにわけ考えました。そして、まずその中の一つである「伝統的支配」について確認しておきましょう。
伝統的支配とは、昔から妥当であると考えられてきた伝統とその伝統によって権威を新た与えられた者(例:首長、ヘル)に対する正当性の信念に基づく支配を指します。
わかりやすい例でいうと、日本のかつての天皇制などです。天皇制では、天皇の言うことが絶対的なものであり、天皇と違う考え方をすれば間違えということになります。なぜなら、天皇にはそれほどの権威が与えられ、周囲の人々も天皇の存在を崇め奉っていたからです。
次の問題では、家父長制について説明します。
2限目:家父長制は伝統的支配である
次に、家父長制についてわかりやすく解説していきます。
選択肢の「2」に注目してください。
2.ウェーバーによれば、家父長制的支配とは、ある私的な関係に限って認められたルールに基づく支配体制である。
この選択肢は、不正解です。
そもそも、家父長制とは何なのでしょうか。
家父長制的支配は、ウェーバーの支配の諸類型のうち伝統的支配の典型です。
家父長制は、パターナリズム (paternalism) ともいわれ、父と子の関係にしばしば見られるような、他者の利益を名目に他者の行動に強制的に干渉しようとする考え方のことを指します。つまり家父長制のもとでは、父親が子どものために、よかれと思って子どもの意向をあまり聞かずに意思決定することになります。そのため、家父長制の下では、父親の存在は偉大なものであり父親の考え方・発言は絶対視される傾向にあります。
しかし家父長制については、今でいうDVの原因になるとの研究や指摘があります。
自分に従わない家族に対しては暴力を振るうことで従わせようとしたんだね。
そういった背景もあり、家父長制は現在は存在していません。
3限目:官僚制による支配は非人格的なものである
次に、官僚制による支配についてわかりやすく解説していきます。
選択肢の「3」に注目してください。
3.ウェーバーによれば、官僚制による支配とは、権力者の恣意的な判断や決定による支配体制である。
この選択肢は、不正解です。
そもそも、官僚制による支配とは何なのでしょうか。
まず、「官僚制」とは何なのかについて確認しておきましょう。
官僚制は、ヒエラルキー(位階、階層)構造を持ったシステムを指します。例えば、企業であれば、平社員、係長、部長、社長といった感じです。
そして、この官僚制では、以下のような特徴が挙げられています。
・形式的で恒常的な規則に基づいて運営される。
・上意下達の指揮命令系統を持つ。
・一定の資格を持った者を採用し、組織への貢献度に応じて地位、報償が与えられる。
・職務が専門的に分化され、各部門が協力して組織を運営していく分業の形態をとる。
じつは、官僚制による支配では、非人格的な合法的支配の典型とされています。
じゃあ、「官僚制=ロボットみたい」って考えるとわかりやすいね!
4限目:カリスマ的支配は支配者の資質により左右される
次に、カリスマ的支配についてわかりやすく解説していきます。
選択肢の「4」に注目してください。
4.ウェーバーによれば、カリスマ的支配とは、非日常的な資質の持ち主によって成立する支配体制である。
この選択肢は、正解です。
ウェーバーの支配の原型としてみなしたカリスマ的支配は、支配者の非日常的な資質に対する被支配者の情緒的な帰依に基づく支配を指します。
カリスマ的支配の一例が、アドルフ・ヒトラーです。アドルフ・ヒトラーは、ドイツの政治家で、ドイツ国首相、および国家元首であり、国家と一体であるとされた国家社会主義ドイツ労働者党の指導者です。
※ヒトラーは、 「自分たちが最も優秀な民族」だと主張し、1933年に首相に指名され、1年程度で指導者原理に基づく党と指導者による一極集中独裁指導体制を築いたため、独裁者の典型とされています。
ではそもそも、どうしてヒトラーは独裁が可能だったのでしょうか。
それは、カリスマ的支配が成り立っていたからです。ヒトラーは、民衆の心を引きつける演説を巧みに行っていました。それにより民衆は、ヒトラーの資質に魅力を感じ、いつしかヒトラーの指示のもとで行動するようになります。
たしかに、民衆がヒトラーに対して拍出と喝采をしてた!
つまり心の底から尊敬している人に従い、行動するのがカリスマ的支配の特徴だね。
5限目:抑圧法モデルは支配者にとって有利な仕組み
次に、抑圧法モデルについてわかりやすく解説していきます。
選択肢の「5」に注目してください。
5.ウェーバーによれば、合法的支配とは、支配者が被支配者を抑圧し、黙らせるための手段として用いられるが、支配者自身はその法の支配から自由であるものをいう。
この選択肢は、不正解です。
この説明文は、ノネとセルズニックによる抑圧的法モデルについての説明です。
抑圧法モデルとは、法は支配体制の一部であると考えられ、支配者の指示によって法律は書き換えることができます。そのため、法律を作っている支配者自身は常に自由な状態にあり、それ以外の人は法の下の平等になります。
それが、抑圧法モデルの特徴です。
まさにあれが、合法的支配の典型なんだね!
まとめ
最後に今回のテーマである「【わかりやすく】ウェーバーの支配類型と具体例を解説」のおさらいをしておきましょう。
1.ウェーバーによれば伝統的支配とは、昔から妥当であると考えられてきた伝統とその伝統によって権威を新た与えられた者に対する正当性の信念に基づく支配である。
2.ウェーバーによれば、家父長制的支配とは、ウェーバーの支配の諸類型のうち伝統的支配の典型である。
3.ウェーバーによれば、官僚制による支配とは、権力者の恣意的な判断や決定による支配体制ではない。
4.ウェーバーによれば、カリスマ的支配とは、非日常的な資質の持ち主によって成立する支配体制である。
5.ノネとセルズニックによる抑圧的法モデルでは、支配者が被支配者を抑圧し、黙らせるための手段として用いられるが、支配者自身はその法の支配から自由であるものをいう。
なので今回のテーマを参考に学習を進めてみてください!
福祉イノベーションズ大学では、社会福祉士国家試験の合格に向けて試験に出る箇所を中心に、情報発信をしています。
「参考書や問題集を解いただけではわからない…。」という方は、今後も参考にしてください!
今回の授業は、以上です!
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