【わかりやすく解説】国民皆保険制度・後期高齢者医療制度とは?

社会福祉士・合格問題編
皆さん、こんにちは!いっちー教授(@free_fukushi)です。

今日も社会福祉士国家試験の合格に向けて一緒に勉強していきましょう!今回のテーマは、「【わかりやすく解説】国民皆保険制度・後期高齢者医療制度とは?」です。では、授業を始めていきましょう。

いっちー教授
いっちー教授

 

*今回の記事の構成として、初めに日本の医療制度についての基本問題を出題します。その後、問題の解答解説を行い、理解が深められる構成になっています。

 

問)次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

1.健康保険法(1922年)により、農業従事者や自営業者が適用対象となった。

2.老人福祉法(1963年)により、国民皆保険が実現した。

3.老人保健法(1982年)により、高額療養費制度が創設された。

4.介護保険法(1997年)により、老人保健施設が創設された。

5.健康保険法等の改正(2006年)による高齢者医療確保による75歳以上の高齢者が、別立ての制度に加入する後期高齢者医療制度が創設された。

 

答え)5.健康保険法等の改正(2006年)による高齢者医療確保による75歳以上の高齢者が別立ての制度に加入する後期高齢者医療制度が創設された。

にゃー吉
にゃー吉
日本の医療制度って、複雑でよく分からないんだよね。。。
たしかに複雑ですよね。しかし日本の国民皆保険制度の仕組みは、世界の中でトップクラスに素晴らしいものです。なので、今回のテーマでしっかり押さえておきましょう。
いっちー教授
いっちー教授



1限目:健康保険の対象者:適用事業所に勤める被用者とその扶養家族

まず初めに「健康保険の対象者」について簡単に確認しておきましょう。

選択肢の「1」に注目してください。

1.健康保険法(1922年)により、農業従事者や自営業者が適用対象となった。

この選択肢は、不正解です

いっちー教授
いっちー教授
「健康保険の対象者」について、詳しく確認してみましょうね。まず、選択肢の「1」を見てみます。
にゃー吉
にゃー吉
あの選択肢は、健康保険法(1922年)により、農業従事者や自営業者が適用対象となった、という内容ですよね。
いっちー教授
いっちー教授
その選択肢は実は間違っています。健康保険とは、民間企業に勤める人やその家族が加入する医療保険制度を指します。
にゃー吉
にゃー吉
そうなんですね!つまり、健康保険の対象者は「適用事業所に勤める被用者とその扶養家族」なんですね。
いっちー教授
いっちー教授
その通りです。健康保険法は1922年の創設以来、現在に至るまで、適用対象者を「適用事業所に勤める被用者とその扶養家族」に限定しています。だから、農業従事者や自営業者は健康保険の対象ではありません。
にゃー吉
にゃー吉
なるほど!適用事業所って、厚生年金の適用対象となる事業所のことだよね。
いっちー教授
いっちー教授
その通りです。適用事業所は、厚生年金に強制加入する必要がある事業所のことです。
にゃー吉
にゃー吉
なるほど、厚生年金と健康保険の関係が分かりました。でも、農業従事者や自営業者は医療保険にはどうすればいいのでしょうか?
いっちー教授
いっちー教授
農業従事者や自営業者は国民健康保険に加入することになります。国民健康保険は健康保険とは別の制度で、個人事業主や農業・漁業従事者、パートやアルバイトなどが加入します。
にゃー吉
にゃー吉
なるほど、国民健康保険と健康保険は対象者が異なるんですね。ちゃんと区別して考えるようにしましょう。

 

2限目:国民皆保険が実現したのは国民健康保険法(1958年)

次に、国民皆保険制度についてわかりやすく解説していきます。

選択肢の「2」に注目してください。

2.老人福祉法(1963年)により、国民皆保険が実現した。

この選択肢は、不正解です

いっちー教授
いっちー教授
では、次に国民皆保険制度について詳しく解説していきましょう。
にゃー吉
にゃー吉
選択肢の「2」を見てみると、老人福祉法(1963年)により国民皆保険が実現したとされていますね。
いっちー教授
いっちー教授
その選択肢は実は間違っています。国民皆保険が実現したのは、実は老人福祉法ではなく、国民健康保険法(1958年)なんですよ。
にゃー吉
にゃー吉
なるほど!国民皆保険は、全ての国民が何らかの公的医療保険制度に加入することを指すんですね。
いっちー教授
いっちー教授
その通りです。国民皆保険制度が整備されるまでは、保険の適用対象になっていなかった人は窓口で全額負担しなければならない状況でした。
にゃー吉
にゃー吉
つまり、今ならたとえば6,000円(3割負担)で受けられる医療が、それまでは20,000円全額支払わないと受けられなかったということですね。
いっちー教授
いっちー教授
その通りです。かなりの金額ですよね。そのため、以前の日本では「医療は金持ちのもの」という考え方が一般的でした。
にゃー吉
にゃー吉
そういえば、おばあちゃんがよく「貧乏人は風邪を引いてはいけない」と言っていた気がします。
いっちー教授
いっちー教授
そうなんです。以前の制度では医療費が高額で、貧困層にとっては医療を受けることが難しかったのです。
にゃー吉
にゃー吉
国民皆保険制度が整備されたことで、医療の公平性が確保されたんですね。
いっちー教授
いっちー教授
その通りです。国民皆保険制度の導入により、医療の負担が軽減され、誰もが必要な医療を受けられるようになりました。

 

3限目:高額療養費制度が創設されたのは1973年

次に、高額療養費制度がいつから始まったのか?について解説していきます。

選択肢の「3」に注目してください。

3.老人保健法(1982年)により、高額療養費制度が創設された。

この選択肢は、不正解です

いっちー教授
いっちー教授
では、高額療養費制度の創設について解説しましょう。
にゃー吉
にゃー吉
選択肢の「3」を見ると、高額療養費制度は老人保健法(1982年)によって創設されたとされていますね。
いっちー教授
いっちー教授
しかし、その選択肢は間違っています。実際に高額療養費制度が創設されたのは、老人保健法ではなく、1973年のことです。
にゃー吉
にゃー吉
そうですね。「福祉元年」と呼ばれる1973年には、福祉に関する様々な施策が始まったんですよね。
いっちー教授
いっちー教授
その通りです。1973年には高額療養費制度や老人医療費の無償化など、福祉に関する重要な施策が実施されました。
にゃー吉
にゃー吉
なるほど。福祉元年(1973年)には高額療養費制度と老人医療費の無償化が導入されたんですね。一緒に覚えておきましょう。
いっちー教授
いっちー教授
正解です。1973年は福祉の分野で重要な節目の年となりました。高額療養費制度の導入は、医療費の負担を軽減し、より多くの人々が適切な医療を受けられるようになった一環です。



4限目:老人保健施設が創設されたのは老人保健法(1982年)

次に、老人保健施設が創設されたのが、いつからなのかについて確認しておきましょう。

選択肢の「4」に注目してください。

4.介護保険法(1997年)により、老人保健施設が創設された。

この選択肢は、不正解です

いっちー教授
いっちー教授
次に、老人保健施設の創設について解説しましょう。
にゃー吉
にゃー吉
選択肢の「4」によると、介護保険法(1997年)によって老人保健施設が創設されたとされていますね。
いっちー教授
いっちー教授
しかし、その選択肢は間違っています。実際に老人保健施設が創設されたのは、老人保健法(1982年)のことです。
にゃー吉
にゃー吉
なるほど。つまり、老人保健法の制定によって老人医療費の一部に自己負担が導入され、その一環として老人保健施設が設立されたんですね。
いっちー教授
いっちー教授
正解です。1982年に老人保健法が制定されることで、老人医療費の負担体制が変わりました。老人保健施設はその中で老人の健康管理やリハビリテーションなどのサービスを提供するための施設です。
にゃー吉
にゃー吉
そして、介護保険法は2000年から導入され、介護保険施設の一つである介護老人保健施設が登場したんですね。
いっちー教授
いっちー教授
正確です。介護保険法の導入により、介護の必要な高齢者へのサポートが強化され、介護老人保健施設などが整備されました。
にゃー吉
にゃー吉
理解しました!老人保健施設は老人保健法(1982年)によって創設されたんですね。そして、介護保険法(1997年)以降には介護老人保健施設が増えたんですね。
いっちー教授
いっちー教授
正確です。しっかりと理解できたようで良かったですね、にゃー吉!

 

5限目:後期高齢者医療制度とは何か?

最後に、後期高齢者医療制度についてわかりやすく解説していきます。

選択肢の「5」に注目してください。

5.健康保険法等の改正(2006年)による高齢者医療確保による75歳以上の高齢者が、別立ての制度に加入する後期高齢者医療制度が創設された。

この選択肢は、正解です

いっちー教授
いっちー教授
最後に、後期高齢者医療制度について解説しましょう。
にゃー吉
にゃー吉
選択肢の「5」によると、健康保険法等の改正(2006年)によって後期高齢者医療制度が創設されたとされていますね。
いっちー教授
いっちー教授
正解です。後期高齢者医療制度に関する法的根拠は「高齢者医療確保方法(2006年)」にあります。
にゃー吉
にゃー吉
その制度では、75歳以上の高齢者が別立ての制度に加入することになるんですね。
いっちー教授
いっちー教授
そうです。後期高齢者医療制度は、75歳以上の高齢者の医療を確保するための制度です。これにより、高齢者が必要な医療を受けることができます。
にゃー吉
にゃー吉
後期高齢者医療制度の運営主体は、「後期高齢者医療広域連合」という組織ですね。
いっちー教授
いっちー教授
正確です。後期高齢者医療広域連合は、都道府県ごとに設置され、全市区町村が加入しています。その組織が後期高齢者医療制度の運営を担当しています。
にゃー吉
にゃー吉
理解しました!後期高齢者医療制度は、高齢者の医療を確保するための別立ての制度であり、後期高齢者医療広域連合が運営を担当しているんですね。
いっちー教授
いっちー教授
しっかりと理解できたようですね、にゃー吉!後期高齢者医療制度は、高齢者の健康と医療の安心を支える重要な制度です。

 

6限目:後期高齢者医療制度が創設された理由

最後に、先ほど確認した後期高齢者医療制度が創設された歴史について理解を深めておきましょう。

まず前提として、日本国民は基本的に「国民健康保険」または「社会保険」のいずれかに加入します。そして、毎月の収入から保険料が引かれる仕組みになっていて、納められた保険料公費によって、私達は高水準の医療を受けることができます。

おさらいです。
国民全員が健康保険に加入する仕組みのことを何というでしたっけ?
いっちー教授
いっちー教授
にゃー吉
にゃー吉
国民皆保険制度です!
正解!!!
いっちー教授
いっちー教授

じつは、この国民皆保険制度ですが、日本にいると当たり前のように思える仕組みですが、世界から見るとそんなことはありません。

例えば、アメリカでは、以前は公的医療保険がありませんでした。あるとすれば、民間の保険会社による健康保険が一般的だったんです。

また、アメリカの民間の保険会社の保険料は高額なものが多いです。そのため、低所得者の多くは加入できない…という現状がありました。つまり、「医療は金持ちのもの」という考え方が強かったんです。

しかし、2010年にアメリカのオバマ大統領が国民全員に公的な医療保険への加入を義務づける「オバマケア」を実施しました。これにより、日本のように、個人の負担額を減らして医療サービスを受けられるようになりました。

とはいえ、アメリカでこの仕組みが導入されたのは2010年のことです。

日本では、1961年から現在に至るまで国民皆保険制度が整備されています。

これって、すごいことですよね?

ところが、そんな長く続いてきた国民皆保険制度の仕組みにも、問題点が浮上してきます。

その原因として一番大きいのが、少子高齢化です。高齢者に係る医療費が膨れ上がり、2013年には年間の医療費が約40円兆円になりました。また、そのうち約3割後期高齢者の医療費に支出されていたのです。

にゃー吉
にゃー吉
40兆円のうち、3分の1ということは「約13兆円」!!
すごい支出だね…。
また現役世代の多くは健康保険に加入していますが、会社を退職した後、後期高齢者の年齢に達するまでは国民健康保険に切り替わるケースがほとんどです。
いっちー教授
いっちー教授
にゃー吉
にゃー吉
後期高齢者医療制度は、75歳以上の高齢者が対象だもんね。
もし仮に、75歳以上になっても国民健康保険に所属していたらどうなるでしょうか?
いっちー教授
いっちー教授
にゃー吉
にゃー吉
国民健康保険側の支出額が、ますます大きくなってしまいます。
もし、そうなると健康保険国民健康保険支出のバランスが保てなくなります。そこで、健康保険と国民健康保険とは別の仕組みとして、2008年に後期高齢者医療制度が施行されることになったんです。
いっちー教授
いっちー教授
にゃー吉
にゃー吉
医療費の支出が多い後期高齢者に関しては、後期高齢者医療制度に移ることで、国民皆保険制度の仕組みを維持しようとしているんだね。
これが、後期高齢者医療制度が創設された背景にあります。
いっちー教授
いっちー教授

 

まとめ

 

最後に今回のテーマである「【わかりやすく解説】国民皆保険制度・後期高齢者医療制度とは?」のおさらいをしておきましょう。

1.健康保険法(1922年)により、農業従事者や自営業者が適用対象外であった。

2.国民健康保険法(1958年)により、1961年に国民皆保険が実現した。

3.1973年の福祉元年の年に、高額療養費制度が創設された。

4.老人保健法(1982年)により、老人保健施設が創設された。

5.健康保険法等の改正(2006年)による高齢者医療確保による75歳以上の高齢者が、別立ての制度に加入する後期高齢者医療制度が創設された。

 

にゃー吉
にゃー吉
国民皆保険がいつから始まったのか。また、国民皆保険がどういう仕組みなのかがよく分かった!
この国民皆保険の仕組みについては、社会福祉士国家試験でもよく出てきます。なので、再度しっかり復習をしておいてください。
いっちー教授
いっちー教授

 

福祉イノベーションズ大学では、社会福祉士国家試験の合格に向けて試験に出る箇所を中心に、情報発信をしています。

参考書や問題集を解いただけではわからない…。」という方は、今後も参考にしてください!

今回の授業は、以上です!



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