今日も社会福祉士国家試験の合格に向けて一緒に勉強していきましょう!今回のテーマは、「【わかりやすく】ソーシャルワークのグローバル定義(2014年)とは?」です。では、授業を始めていきましょう。

*今回の記事の構成として、初めにソーシャルワークの定義に関する基本問題を出題します。その後、問題の解答解説を行い、理解が深められる構成になっています。
問)次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1.ソーシャルワークのグローバル定義(2014年)では、ソーシャルワーク専門職の中核となる任務として「人々のエバリュエーション」が挙げられている。
2.ソーシャルワークのグローバル定義(2014年)において、ウェルビーイングの増進を目指して、人間関係の問題解決を図ることが新たに加えられた。
3.ソーシャルワークのグローバル定義(2014年)において、ソーシャルワークは専門職であるとともに、学問であることが明示された。
4.ソーシャルワークのグローバル定義(2014年)におけるソーシャルワークの中核を成す原理として、自民族中心主義が掲げられている。
5.ソーシャルワークのグローバル定義(2014年)では、ソーシャルワーク専門職の中核となる任務として「技術開発の促進」があげられている。
答え)3.ソーシャルワークのグローバル定義(2014年)において、ソーシャルワークは専門職であるとともに、学問であることが明示された。


1限目:ソーシャルワークのグローバル定義の中核となる任務
まず、ソーシャルワークのグローバル定義の中核となる原理について確認していきましょう。
選択肢の「1」に注目してください。
1.ソーシャルワークのグローバル定義(2014年)では、ソーシャルワーク専門職の中核となる任務として「人々のエバリュエーション」が挙げられている。
この選択肢は、不正解です。
正しくは、人々のエバリエーションではなく、「人々のエンパワメントと解放」です。
どちらも「エ」から始まるので、出題者としては、わざと選択肢に入れてきます。なので、皆さんは間違いないでください。
またソーシャルワークのグローバル定義には、ソーシャルワーク専門職の中核となる任務として、次の4つを掲げています。
①社会変革の促進
②社会開発の促進
③社会的結束の促進
④人々のエンパワメントと解放
また覚え方としては、次のように覚えるとわかりやすいです。
中核となる任務4つの覚え方
①「初めに『社会』がつき『促進』が後ろにつく。」×3
②語尾が「解放」×1




ソーシャルワークは、社会変革と社会開発、社会的結束および人々のエンパワメントと解放を促進する、実践に基づいた専門職であり学問である。社会正義、人権、集団的責任、および多様性尊重の諸原理は、ソーシャルワークの中核をなす。ソーシャルワークの理論、社会科学、人文科学、および地域・民族固有の知を基盤として、ソーシャルワークは、生活課題に取り組みウェルビーイングを高めるよう、人々や様々な構造に働きかける。


2限目:ウェルビーイングの増進は2000年のことである
次に、ウェルビーイングの増進について確認していきましょう。
選択肢の「2」に注意してください。
2.ソーシャルワークのグローバル定義(2014年)において、ウェルビーイングの増進を目指して、人間関係の問題解決を図ることが新たに加えられた。
この選択肢は、不正解です。
ウェルビーイングの増進は、ソーシャルワークのグローバル定義で新たに加えられたわけではなく、既に国際ソーシャルワーカー連盟による「ソーシャルワークの定義(2000年)」で記載されました。


そして2回目として、2014年に、メルボルンで「ソーシャルワークのグローバル定義」が作られました。


2回目→ソーシャルワークのグローバル定義(2014年)
って、覚えればいいんだね!
また、ソーシャルワークの定義(2000年)には、次のような内容が記載されています。

ソーシャルワーク専門職は、人間の福利(ウェルビーイング)の増進を目指して、社会の変革を進め、人間関係における問題解決を図り、人々のエンパワメントと解放を促していく。ソーシャルワークは、人間の行動と社会システムに関する理論を利用して、人びとがその環境と相互に影響し合う接点に介入する。人権と社会正義の原理は、ソーシャルワークの拠り所とする基盤である。


3限目:ソーシャルワークとは専門職であり学問である
次に、ソーシャルワークとは何か?について確認しておきましょう。
選択肢の「3」に注意してください。
3.ソーシャルワークのグローバル定義(2014年)において、ソーシャルワークは専門職であるとともに、学問であることが明示された。
この選択肢は、正解です。
ソーシャルワークは、社会変革と社会開発、社会的結束及び人々のエンパワメントと解放を促進する実践に基づいた専門職であり学問であるとされています。

ソーシャルワークは、「単なる仕事ではない。」という視点を持っておきましょう。

4限目:ソーシャルワークは地域・民族固有の知が掲げられている
次に、地域・民族固有の知という考え方に触れておきましょう。
選択肢の「4」に注意してください。
4.ソーシャルワークのグローバル定義(2014年)におけるソーシャルワークの中核を成す原理として、自民族中心主義が掲げられている。
この選択肢は、不正解です。
正しくは、「自民族中心主義ではなく、地域・民族固有の知が掲げられている」です。特に、ソーシャルワークは先住民を含めた諸民族固有の知にも拠っていることを認識しなければならないとされています。





5限目:ソーシャルワークの社会開発の促進
最後に、ソーシャルワークの社会開発の促進という考え方に触れていきましょう。
選択肢の「5」に注意してください。
5.ソーシャルワークのグローバル定義(2014年)では、ソーシャルワーク専門職の中核となる任務として「技術開発の促進」があげられている。
この選択肢は、不正解です。
正しくは、技術開発の促進ではなく、「社会開発の促進」です。
そもそも、社会開発とは何でしょうか。
社会開発という概念は、介入のための戦略、最終的に目指す状態および(通常の財務的及び制度的枠組みに加えて)政策的枠組みなどを意味します。
もう少し、わかりやすく解説します。
社会開発とは、健康、教育、家族計画、住宅および衛生に関する社会サービスをすべての人々に提供することを指します。
日本を例に考えてみましょう。
例えば、私達は風を引いたときに病院にいくことで治療を受け治すことができます。
また、子どもたちは小学校や中学校などの教育機関で教育を受けることができます。
さらに、私達は一人ひとり自分が住む家を持っています。
このような社会の仕組みは、私達からすれば当たり前のように思えるものばかりです。しかし、世界規模で見るとそんなことはありません。これらの、人間にとって必要なものが全く整備されていない国も多くあります。
では、なぜ整備されていない国があるのでしょうか。
それは、社会開発を促進する阻害要因があるからです。具体的には、失業、社会の崩壊、長引く貧困の問題などが挙げられます。そして、強制移住の問題から薬物乱用、組織犯罪、病気の蔓延など、ますます多くの社会問題が生まれ、社会開発が思ったように進みません。
そこで、ソーシャルワーカーの出番です。


まとめ
最後に今回のテーマである「【わかりやすく】ソーシャルワークのグローバル定義(2014年)とは?」のおさらいをしておきましょう。
1.ソーシャルワークのグローバル定義(2014年)では、ソーシャルワーク専門職の中核となる任務として「人々のエンパワメントと解放」が挙げられている。
2.ソーシャルワークの定義(2000年)において、ウェルビーイングの増進を目指して、人間関係の問題解決を図ることが記載された。
3.ソーシャルワークのグローバル定義(2014年)において、ソーシャルワークは専門職であるとともに、学問であることが明示された。
4.ソーシャルワークのグローバル定義(2014年)におけるソーシャルワークの中核を成す原理として、地域・民族固有の知が掲げられている。
5.ソーシャルワークのグローバル定義(2014年)では、ソーシャルワーク専門職の中核となる任務として「社会開発の促進」があげられている。


福祉イノベーションズ大学では、社会福祉士国家試験の合格に向けて試験に出る箇所を中心に、情報発信をしています。
「参考書や問題集を解いただけではわからない…。」という方は、今後も参考にしてください!
今回の授業は、以上です!
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