今日も社会福祉士国家試験の合格に向けて一緒に勉強していきましょう!今回のテーマは、「【わかりやすく】慈善組織協会(COS)が設立した背景とは?」です。では、授業を始めていきましょう。
*今回の記事の構成として、初めに慈善組織協会(COS)に関する基本問題を出題します。その後、問題の解答解説を行い、理解が深められる構成になっています。
問)次の記述のうち、正しいものを2つ選びなさい。
1.慈善組織協会(COS)は、労働者や子供の教育文化活動、社会調査とそれに基づく社会改良を目的に設立された。
2.慈善組織協会(COS)の救済は、自助の考えに基づき、貧困者の生活態度の改善や道徳的強化を目指した。
3.慈善組織協会(COS)は、把握したすべての貧困者を救済の価値ある貧困者として救済活動を行った。
4.慈善組織協会(COS)は、友愛訪問員の広い知識と社会的訓練によって友愛訪問活動の科学化を追求した。
5.慈善組織協会(COS)の友愛訪問活動の実践をもとに、コミュニティワーカーに共通する知識、方法が確立された。
答え)2.慈善組織協会(COS)の救済は、自助の考えに基づき、貧困者の生活態度の改善や道徳的強化を目指した。
答え)4.慈善組織協会(COS)は、友愛訪問員の広い知識と社会的訓練によって友愛訪問活動の科学化を追求した。
今回は、慈善組織協会(COS)についてわかりやすく解説していきまます。
1限目:慈善組織協会を作った目的
まず、慈善組織協会が何を目的に作られた組織なのかについてわかりやすく解説していきます。
選択肢の「1」に注意してください。
1.慈善組織協会(COS)は、労働者や子供の教育文化活動、社会調査とそれに基づく社会改良を目的に設立された。
この選択肢は、不正解です。
慈善組織協会が設立された目的は、貧困者の個別調査、各種慈善団体間の連絡調整などを行うために作られたとされています。
*余談ですが、「慈善組織協会」の読み方は、(じぜんそしききょうかい)です。
また慈善団体を組織化することで、救済の適正化と効率化を目指しました。
慈善活動とは
お金や労力を慈善的な目的でささげることを指します。
例)赤い羽根の共同募金、ボランティアなど
慈善団体とは
慈善活動を行うことを目的とする団体を指します。
ですが、そもそも慈善組織協会とはどんな組織なのでしょうか?
この協会について説明する前に、1800年代のイギリスの状況についてお話しします。
皆さん、1834年に、イギリスでは何という法律ができたでしょうか?
そうです。「新救貧法」という法律ができました。
覚え方は、【いや(18)、新(新救貧法)しい洋服をミシン(34)で作るなんて…。】です。
ですが、この新救貧法という法律は、機能しそうで全く機能していない法律でした。なぜなら、貧困者がこの法律に基づくサービスを受けようとしても、行政がその申し出をなかなか認めないという仕組みになっていたからです。
ですが、1800年代、イギリスでは貧困者が街にあふれていました。そこで、慈善組織協会が活動を開始します。
2限目:慈善組織協会の活動の目的
次に、慈善組織協会の活動の目的について確認していきましょう。
選択肢の「2」に注目してください。
2.慈善組織協会(COS)の救済は、自助の考えに基づき、貧困者の生活態度の改善や道徳的強化を目指した。
この選択肢は、正解です。
じつは、慈善組織協会が創設された1869年当時は「自己責任」という考え方が強かったと考えられています。なので、この当時は、支援者が貧困者を支援するといっても、「本人が怠け者だから、貧困になっているんだ!!」という目線で、貧困者を救済していました。
結果として、支援するというよりも、「もっと一生懸命働いて頑張りなさい!」と貧困者のところに個別訪問して、モチベーションアップ?をさせるといった感じです。
3限目:選別主義に基づく慈善組織協会
次に、慈善組織協会が行った選別主義という考え方について学習しておきましょう。
選択肢の「3」に注目してください。
3.慈善組織協会(COS)は、把握したすべての貧困者を救済の価値ある貧困者として救済活動を行った。
この選択肢は、不正解です。
慈善組織協会の救済は、自助、努力の有無を基準に、救済対象を「救済に値する貧民」と「救済に値しない貧民」に区別し、選別主義に基づく救済を行っていました。
みんな平等すれば良くない?不公平だよ?
しかし、それは可能なのでしょうか。注目すべきなのは、資源の量です。
あれ?「一人あたり、0.1円?」、そんなお金ないじゃん!
だからこそ、慈善組織協会は、選別主義に基づく支援を続けていたんです。
4限目:慈善組織協会の活動のその後
次に、慈善組織協会の活動のその後についても学習しておきましょう。
選択肢の「4」に注目して下さい。
4.慈善組織協会(COS)は、友愛訪問員の広い知識と社会的訓練によって友愛訪問活動の科学化を追求した。
この選択肢は、正解です。
友愛訪問活動は、個人の人格の向上、道徳的強化を目的としていました。
そもそも、友愛訪問活動とは何なのでしょうか。もともと、慈善組織協会(COS)は、地区ごとに地区委員会を設置して、対象となる貧民の世帯を訪問して調査を行い、記録を行っていました。
また、この訪問のことを「友愛訪問」と呼びます。そして、その記録に基づいて、各慈善団体の間で連絡調整を行い、救済を実施していました。また、この活動をきっかけに、社会的訓練など実践的なサービス提供を行うようになると、科学的な処遇技術が求められるようになりました。
それらが、後に「ケースワーク」「コミュニティ・オーガニゼーション」の先駆けとなりました。
支援をする側の人たちも気分よく支援を行っていたんだね!
5限目:友愛訪問活動をもとにケースワーク
次に、慈善組織協会の友愛訪問活動の実践をもとに確立された「ケースワーク」について確認していきましょう。
選択肢の「5」に注目してください。
5.慈善組織協会(COS)の友愛訪問活動の実践をもとに、コミュニティワーカーに共通する知識、方法が確立された。
この選択肢は、不正解です。
正しくは、「慈善組織協会の友愛訪問活動の実践をもとに方法が確立されたのはケースワークである」です。
そもそも、ケースワークとは何なのでしょうか。
ケースワークとは、個別の状況に対する働きかけのことを指します。
そしてケースワークを行う人のことを、「ケースワーカー」と呼びます。つまり、慈善組織協会の友愛訪問員がケースワーカーに該当するということです。
そして、慈善組織協会の友愛訪問活動をもとに、ケースワークを体系化した人物がいます。その人物が、「M.リッチモンド」です。
※大学時代、教授から「リッチモンドは、社会福祉士国家試験でよく出てきますからね?覚えていないとまずいですよ?」と笑いながら、言われたのを覚えています(笑)
まとめ
最後に今回のテーマである「【わかりやすく】慈善組織協会(COS)が設立した背景とは?」のおさらいをしておきましょう。
1.慈善組織協会(COS)は、貧困者の個別調査、各種慈善団体間の連絡調整などを行うことを目的に設立された。
2.慈善組織協会(COS)の救済は、自助の考えに基づき、貧困者の生活態度の改善や道徳的強化を目指した。
3.慈善組織協会(COS)は、自助、努力の有無を基準に、救済対象を「救済に値する貧困者」と「救済に値しない貧困者」に区別し、選別主義に基づく救済を行った。
4.慈善組織協会(COS)は、友愛訪問員の広い知識と社会的訓練によって友愛訪問活動の科学化を追求した。
5.慈善組織協会(COS)の友愛訪問活動の実践をもとに、ケースワークに共通する知識、方法が確立された。
なので今回のテーマで、しっかり押さえておきましょう。
福祉イノベーションズ大学では、社会福祉士国家試験の合格に向けて試験に出る箇所を中心に、情報発信をしています。
「参考書や問題集を解いただけではわからない…。」という方は、今後も参考にしてください!
今回の授業は、以上です!
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