今日も社会福祉士国家試験の合格に向けて一緒に勉強していきましょう!今回のテーマは、「【わかりやすく】診療報酬とは何か?DPC制度もあわせて解説」です。では、授業を始めていきましょう。
*今回の記事の構成として、初めに診療報酬に関する基本問題を出題します。その後、問題の解答解説を行い、理解が深められる構成になっています。
問)次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1.診療報酬の点数は、通常2年に1度改定される。
2.診療報酬点数には、医科、歯科、看護報酬が設けられている。
3.DPC対象病院の入院医療にかかる費用は、包括医療費支払い制度は適用されない。
4.療養病床の入院基本料は、出来高払い方式によって診療報酬が算定される。
5.外来診療方針については、1日当たり包括払い制度は取られている。
答え)1.診療報酬の点数は、通常2年に1度改定される。
なので、わかりやすく解説していきます。
1限目:診療報酬は国が決める価格表である
まず、診療報酬という考え方についてわかりやすく解説していきます。
選択肢の「1」に注目してください。
1.診療報酬の点数は、通常2年に1度改定される。
この選択肢は、正解です。
ですが、診療報酬とは一体何なのでしょうか。
医療費とは
医療機関や薬局での診察・治療・処方などの医療サービスを受けたときにかかる費用を指します。
一方で、医療機関が提供したサービスの対価として受け取るのが診療報酬です。
診療報酬の1~3割は、患者さんが支払う自己負担分で、残りは患者が加入している国民健康保険や健康保険組合・全国健康保険協会(協会けんぽ)などの「保険者」から支払われます。
ここで、一つポイントがあります。
一般的に、サービスの価格はその提供者が任意に決めることができます。
例えば、皆さんがよく行くファミレスや、ラーメン屋などでの食事代はその店舗ごとによって価格を決めることができます。
ところが、医療行為や医薬品代についてはそうもいきません。これらの価格は、国の制度によって細かく値段が定められています。この公的な価格表に基づいて決定した医療費も「診療報酬」と呼びます。
一旦、ここまでを整理しましょう。
診療報酬には、2通りの考え方があります。
まず一つが、医療行為・医薬品などの対価のことを診療報酬であると指す場合です。
もう一つが、医療に関する価格表や制度そのものを診療報酬と指す場合です。
2限目:診療報酬点数表は医科、歯科、調剤の3種類
次に、診療報酬点数表の内容についてわかりやすく解説していきます。
選択肢の「2」に注目してください。
2.診療報酬点数には、医科、歯科、看護報酬が設けられている。
この選択肢は、不正解です。
正しくは、「診療報酬点数表は、医科、歯科、調剤に分けられている」です。
そもそも、診療報酬点数表とは何なのでしょうか。
保険医療機関は、医療にかかった費用のうち、一部を患者から徴収します。そして、その残りを 保険者等に請求し、支払をうける仕組みになっています。このとき、医療にかかった費用(診療報酬) を計算するために用いられるのが「診療報酬点数表」です。
診療報酬を明確にするために「診療報酬点数表」があるんだ。
また、診療報酬点数表の中身は「医科、歯科、調剤」の3つに分けられるんです。
3限目:DPCは定額で医療を受けられる仕組みのこと
次に、DPCについてわかりやすく解説していきます。
選択肢の「3」に注目してください。
3.DPC対象病院の入院医療にかかる費用は、包括医療費支払い制度は適用されない。
この選択肢は、不正解です。
そもそも、DPCとは一体何なのでしょうか。
DPCとは
入院期間に応じて1日あたりの点数が定額で決められている急性期入院医療を対象とした診断群分類に基づく1日あたりの包括払い制度を指します。
つまり、治療に要した資源量に基づいて医療費を決めるのではなく、定額で医療を受けられる仕組みを意味します。
例えば、ある病気で入院が必要になったとしましょう。
DPCができる以前は、病気で入院し、手術を受ける場合、初診料・入院日数に応じた入院費・手術費・検査費・薬剤費など、施行された全ての医療行為ごとに点数が加算されていました。また、この合計した点数がそのまま病院の収益である診療報酬として支払われていたんです。
しかし、この計算方式には問題がありました。それは、この仕組みにより日本の医療費が増大し続け、国費や保険システムを圧迫しているという事実があったのです。
そこで、これらの問題の対策として、「DPC」という仕組みが誕生しました。
DPCは、厚生労働省によって取り決められた診断群分類に基づいて診断・検査・治療ならびに医療費を計算し、それによって病院の収益である診療報酬を決定するという仕組みです。
つまり、従来の出来高制の支払い方式とは違って、DPCでは一日当たりの点数があらかじめ決められており、それに基づいて医療が提供されるようになります。
※ただし、一部の検査・処置(内視鏡検査・診断穿刺・検体採取・病理診断・人工透析・手術手技・輸血・麻酔手技など)などにおいては出来高制で算定されます。
4限目:療養病床入院基本料は包括払い方式である
次に、療養病床入院基本料の決め方について確認しておきましょう。
選択肢の「4」に注目してください。
4.療養病床の入院基本料は、出来高払い方式によって診療報酬が算定される。
この選択肢は、不正解です。
療養病床入院基本料は、検査、投薬、注射、画像診断、処置などが施設基準及び ADL区分と医療区分の程度に応じて、入院1日当たりの定額が定められています。
つまり、出来高払い制度ではなく、包括払い方式によって診療報酬が算定される仕組みになっているんです。
「療養病床入院基本料=包括払い方式」と覚えておいてください!
5限目:外来診療報酬は出来高払い制度が行われている
最後に、外来診療報酬についてわかりやすく解説していきます。
選択肢の「5」に注目してください。
5.外来診療方針については、1日当たり包括払い制度は取られている。
この選択肢は、不正解です。
正解は、「外来診療報酬は、診療行為ごとに決められた単価を積み上げて計算する出来高払い制度がとられている」です。
そもそも、皆さん、外来診療と言われてピンときますか?外来診療は、皆さんが想像される医療機関での医療の受け方です。
例えば、風邪を引いたときに病院に行くと、その病院の受付を済ませ、診察、検査、処置などを受け、最後に会計を行います。これが、外来診療です。
また、夜間や休日の急を要する診療、救急車で搬送された患者さんの治療などを行う救急外来診療も、病院が担う重要な外来診療の一つです。
まとめ
最後に今回のテーマである「【わかりやすく】診療報酬とは何か?DPC制度もあわせて解説」のおさらいをしておきましょう。
1.診療報酬の点数は、通常2年に1度改定される。
2.診療報酬点数には、医科、歯科、調剤が設けられている。
3.DPC対象病院の入院医療にかかる費用は、包括医療費支払い制度は適用される。
4.療養病床の入院基本料は、包括払い方式によって診療報酬が算定される。
5.外来診療方針については、出来高払い制度が取られている。
でも今回で、包括払い制度や出来高払い制度のこともよくわかったよ!
なので、早い段階で、これらの考え方を理解しておくことが重要です。
福祉イノベーションズ大学では、社会福祉士国家試験の合格に向けて試験に出る箇所を中心に、情報発信をしています。
「参考書や問題集を解いただけではわからない…。」という方は、今後も参考にしてください!
今回の授業は、以上です!
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