今日も社会福祉士国家試験の合格に向けて一緒に勉強していきましょう!今回のテーマは、「【わかりやすく解説】介護医療院は何を目的にした施設なのか」です。では、授業を始めていきましょう。
*今回の記事の構成として、初めに介護・医療に関する基本問題を出題します。その後、問題の解答解説を行い、理解が深められる構成になっています。
問)次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1.国民健康保険は、市町村と都道府県が協力して管理・運営することとなり、財政運営の責任主体は都道府県が担うこととなった。
2.市町村介護保険事業計画の計画期間は、5年を一期とする。
3.住民の健康づくりを効率的な医療・介護の提供体制の構築等の地域課題に取り組むため、市町村に保険者協会が設置されることとなった。
4.地域医療構想は、医療計画と介護保険事業支援計画の内容を包含する構想である。
5.介護保険施設として、新たに介護老人保健施設が設置された。
答え)1.国民健康保険は、市町村と都道府県が協力して管理運営することとなり、財政運営の責任主体は都道府県が担うこととなった。
1限目:国民健康保険の財政運営は都道府県が行う
まずは、国民健康保険について学習しておきましょう。
選択肢の「1」に注目してください。
1.国民健康保険は、市町村と都道府県が協力して管理・運営することとなり、財政運営の責任主体は都道府県が担うこととなった。
この選択肢は、正解です。
もともと、国民健康保険は市町村が主体で管理・運営していました。
しかし2018年4月から、それまで市町村が個別に運営してきた国民健康保険は市町村と都道府県が協力して管理・運営することとなりました。またその際、財政運営の責任主体は都道府県が担うこととなったのです。
でも、市町村が財政運営の役割を担うものがあったよね?
国民健康保険の財政運営の責任主体→都道府県
介護保険の財政運営の責任主体→市町村
2限目:市町村介護保険事業計画の計画期間
次に、市町村介護保険事業計画についてわかりやすく解説していきます。
選択肢の「2」に注目してください。
2.市町村介護保険事業計画の計画期間は5年を一期とする。
この選択肢は不正解です。
正解は、「市町村介護保険事業計画の計画期間は3年を一期とする。」です。
また、「そもそも、市町村介護保険事業計画とは何か?」と思われる方も多いと思います。
市町村介護保険事業計画は一言でいうと、介護保険の保険給付を円滑に実施するための計画を指します。
そのため、市町村介護保険事業計画は、介護保険法に規定されています。また市町村介護保険事業計画には、以下の3点の定めるべき事項があります。
①地域の現状
②どんな介護サービスをどれだけ提供するのか
③介護サービスを充実させる取り組みとその目標
この他、市町村介護保険事業計画の計画期間は「3年を一期」とすることが定められています。
そのため市町村介護保険事業計画は、3年おきに上記の3つを確認することとなっています。
3限目:保険者協会は都道府県に設置されている
次に、保険者協会について理解を深めておきましょう。
選択肢の「3」に注目してください。
3.住民の健康づくりを効率的な医療・介護の提供体制の構築等の地域課題に取り組むため、市町村に保険者協会が設置されることとなった。
この選択肢は不正解です。
保険者協会は、「高齢者の医療の確保に関する法律(高齢者医療確保法)」に規定されています。
また保険者協会は、市町村ではなく、「都道府県ごと」に設置されることになっています。
そのため、「市町村→都道府県」に直せば、正解です。
※余談ですが、後期高齢者医療制度もこの法律に規定されています。
そして、この保険者協会が行う業務については、次の5点があります。
①特定健康診査等の実施
②高齢者医療制度の運営
③その他の事項に関する保険者その他の関係者間の連絡調整
④保険者に対する必要な助言又は援助
⑤医療費などに関する情報の調査及び分析
4限目:地域医療構想は2025年問題に対応したもの
次に、地域医療構想についてわかりやすくご説明します。
選択肢の「4」に注目してください。
4.地域医療構想は、医療計画と介護保険事業支援計画の内容を包含する構想である。
この選択肢は、不正解です。
地域医療構想は、医療法に位置づけられているものです。
地域医療構想では「2025年の超高齢社会」に向けて効率的な医療提供体制を実現するために行う取り組みです。そのため、地域医療構想は、医療計画と介護保険事業支援計画の内容を包含するものではありません。
ところで皆さん、この「2025年」という年には敏感になってください。2025年は、「団塊の世代と呼ばれる世代が後期高齢者(75歳以上)になる年」と言われています。
団塊の世代とは
第1次ベビーブームが起きた時期に生まれた世代を指します。
また、高齢者が多い社会では医療サービスを使う頻度は自然と増えます。
したがって早い段階で、そういった高齢者が将来、利用する医療サービスの体制を国としては整えておきたいんです。そこで、「地域医療構想」という考え方が誕生しました。
そして、地域医療構想では、以下の2点を定めるべき事項としています。
①2025年の医療需要と病床の必要量
②目指すべき医療提供体制を実現するための施策
5限目:介護医療院は介護保険施設として新たに設置された
最後に、介護医療院とは何か?について簡単にご説明します。
選択肢の「5」に注目してください。
5.介護保険施設として、新たに介護老人保健施設が設置された。
この選択肢は、不正解です。
介護保険施設として新たに創設されたのは「介護医療院」です。介護医療院の説明をする前に、「介護保険施設3施設」と言われて3種類全て言えるでしょうか。
①介護施設としての特別養護老人ホーム
②リハビリを中心とした介護老人保健施設
③長期入院して療養する介護療養型医療施設
しかし、3つ目の介護療養型医療施設に関しては2017年度末で廃止されることになりました。
そして新たに創設されたのは「介護医療院」と呼ばれる介護保険施設です。介護医療院では、要介護の高齢者に対して医療や介護だけでなく、「生活の場」を提供することになりました。
要介護者が、日常生活の中で医療や介護といったサービスが受けられるように整備したということです。また介護医療院には、医師や看護師が配置されています。
そのため、喀痰吸引や経管栄養など医療ニーズの高い要介護者にも対応することが可能です。
では、次に介護医療院が創設された歴史について振り替えておきましょう。
6限目:【解説】介護医療院ができた背景とは?
ここで、介護医療院が創設された背景について説明します。
介護医療院ができるまでには、色々な問題点がありました。まず、簡単に歴史を振り返ってみましょう。
皆さん、「社会的入院」という単語を聞いたことはありますか?
社会的入院とは
病院に長期入院している患者の家族での介護が難しく、やむなく入院させている状態のことを指します。
そして国としては、社会的入院をなくすため、1993年に「第二次医療法改正」により「療養型病床群」を創設させました。
療養型病床群とは
長期入院による医療機関の必要な患者が入る施設を指します。
その後、2000年に介護保険制度がスタートしました。これにより、「介護療養型医療施設」が介護保険施設3施設として創設されます。
また2001年には、療養型病床群が「療養病床」に再編されます。さらに、療養病床は医療の必要性に応じて「療養病床」と「介護療養病床」の2つに分けられました。
ところが、この「介護療養病床」がくせ者です。そもそも、このように2つに分けた理由は、医療の必要性が低い人は「介護療養病床で見てください!」といった意向があったからなんです。
しかし調査を行った結果、療養病床と介護療養病床に分けても、両者にあまり差がないことがわかったんです。
つまり、療養病床に入っている人も、介護療養病床に入っている人も、似たり寄ったりのサービスが提供されていたということです。
そして、2006年に介護療養病床の次の受け皿として、「介護療養型老健」と呼ばれる施設が創設されました。ところが、この「介護療養型老健」は思ったように普及しませんでした。そこで、介護療養型老健は、2012年度末で廃止予定となっていたのですが、2023年度末までに廃止が延長されました。
これらの経緯を受け、介護療養病床の次の受け皿として2018年に創設されたのが「介護医療院」なのです。
まとめ
最後に今回のテーマである「【わかりやすく解説】介護医療院は何を目的にした施設なのか」のおさらいをしておきましょう。
1.国民健康保険は、市町村と都道府県が協力して管理運営することとなり、財政運営の責任主体は都道府県が担うこととなった。
2.市町村介護保険事業計画の計画期間は、3年を一期とする。
3.住民の健康づくりを効率的な医療・介護の提供体制の構築等の地域課題に取り組むため、都道府県に保険者協会が設置されることとなった。
4.地域医療構想は、2025年の団塊の世代が後期高齢者(75歳以上)になる前に医療体制を整えておくためのものである。
5.介護保険施設として、新たに介護医療院が設置された。
福祉イノベーションズ大学では、社会福祉士国家試験の合格に向けて試験に出る箇所を中心に、情報発信をしています。
「参考書や問題集を解いただけではわからない…。」という方は、今後も参考にしてください!
今回の授業は、以上です!
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