今日も社会福祉士国家試験の合格に向けて一緒に勉強していきましょう!今回のテーマは、「生活保護受給者に対する就労支援事業とワークフェアとは?」です。では、授業を始めていきましょう。

*今回の記事の構成として、初めに生活保護受給者に対する就労支援に関する基本問題を出題します。その後、問題の解答解説を行い、理解が深められる構成になっています。
問)次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1.ワークフェアとは、就労支援を受けることが生活保護の受給要件となっており、そのような支援プログラムを受けないと生活保護の継続を打ち切るような福祉政策のことをいう。
2.就労支援を受けることは生活保護受給を継続する要件である。
3.生活保護受給者に対する就労支援では、本人の同意を得なくても自立活動確認証を専門職が作成できる。
4.被保護者就労支援事業の対象者には、公共職業安定所に求職の申し込みをすることが義務付けられている。
5.被保護者就労支援準備授業には、社会生活自立に関する支援は含まれていない。
答え)1.ワークフェアとは、就労支援を受けることが生活保護の受給要件となっており、そのような支援プログラムを受けないと生活保護の継続を打ち切るような福祉政策のことをいう。

しかし、今の生活保護法ではそうではないんです。

1限目:ワークフェアは就労の拡大を目的にしている
では、まず初めに「ワークフェア」という考え方について理解を深めておきましょう。
選択肢の「1」に注目してください。
1.ワークフェアとは、就労支援を受けることが生活保護の受給要件となっており、そのような支援プログラムを受けないと生活保護の継続を打ち切るような福祉政策のことをいう。
この選択肢は、正解です。
ワークフェアは、英語にすると「workfare」というように表記することができます。この単語は、「work(労働)」と「welfare(福祉)」を組み合わせた造語です。
また、このワークフェアという考え方では福祉の目的を「就労の拡大」に重きを置いています。
そのため、公的扶助(生活保護)などの福祉サービスを受けるのであれば、その条件として「就労」を求められることになります。


2限目:生活保護をうけるのに就労は不必要である
さて次は、就労と公的扶助(生活保護)の関係性についてわかりやすく解説していきます。
選択肢の「2」に注目してください。
2.就労支援を受けることは、生活保護受給を継続する要件である。
この選択肢は、不正解です。
皆さん、公的扶助「以下、(生活保護)とする。」などの福祉サービスの受給要件として「勤労」が求められることを何というでしたっけ?
そうです。「ワークフェア」でしたね。たしかに、日本で初めて作られた「旧・生活保護法(1946年)」では、ワークフェアの考え方が強かったです。
しかし現在では、そのようなことはありません。
その背景には、貧困者が常に弱い立場の労働者として働かされてしまうという問題があったからです。たしかに、生活保護を受ける要件として「労働をする」というのは、自立に近づける一つの方法なのかもしれません。
しかし、かつての日本では、ワークフェアのもとで強制的に働いた人たちが不利ともいえる賃金や福利厚生に遭遇するといった事例が相次いで発生しました。結果として、「働いているのに貧困状態から抜け出せない…」という問題点が取りざたされたのです。
そのため、一定基準の貧困者に関しては、直接「現金」や「現物」を支給したほうがよいのではないか?と考えられるようになりました。こういった背景から、現在の生活保護の根底にあり、ワークフェアという考え方が導入されていません。


3限目:自立活動確認書の作成には本人の同意が必要である
さて次は、「自立活動確認書」について理解を深めておきましょう。
選択肢の「3」に注目してください。
3.生活保護受給者に対する就労支援では、本人の同意を得なくても自立活動確認書を専門職が作成できる。
この選択肢は、不正解です。
とはいえ、、「いきなり、自立活動確認書っていわれても、何のこっちゃ!?」って思いますよね。
そこでまずは、「自立活動確認書」について確認しておきましょう。
自立活動確認書とは、「生活保護受給者に対する就労支援」に用いられるものです。
内容として、自立活動確認書には、以下のような内容が記載されています。
①勤務形態や職種
②労働時間
③希望賃金額
④求職活動の方法や回数の目標、など
この自立活動確認書の大きな特徴として、「『本人の同意」』を得てから作成が求められる。」という原則があります。


4限目:被保護者就労準備支援事業の対象者
次に、「被保護者就労準備支援事業」について確認していきましょう。
選択肢の「4」に注目してください。
4.被保護者就労準備支援事業の対象者には、公共職業安定所に求職の申し込みをすることが義務付けられている。
この選択肢は、不正解です。
まず、注目すべきなのは「被保護者」という部分です。
被保護者とは、一般的に生活保護受給者のことを意味します。
つまり、これは「生活保護を受けている人」に関する内容のものです。
ここで確認です。生活保護を受けている人に対して「就労を義務付ける」というルールはありましたか?
いいえ、現在の生活保護法ではそのような規定はありません。したがって、「公共職業安定所に求職の申し込みをすることが義務付けられている」という部分が誤りなんです。

なので、求職の申し込みは義務付けられるものではありません。



被保護者就労準備支援事業とは
就労に向けた複合的な課題を抱え、直ちに就職することが困難な被保護者に対して、生活習慣の形成改善を行い、社会参加に必要な基礎技能等を習得することにより、就労が見込まれるもののうち事業への参加を促す機関である。
このように定義されています。
先ほどから説明しているように、生活保護受給者に対する就労は義務付けられていません。
しかし、生活保護受給者に対して「就労支援」をすることがあります。
そして、その役割を担っているのが「被保護者就労準備支援事業」という機関です。



5限目:被保護者就労準備支援事業の2つの役割
最後に、先ほど確認した「被保護者就労準備支援事業」の中身を、もう少し専門用語を使って学習していきましょう。
選択肢の「5」に注目してください。
5.被保護者就労準備支援事業には、社会生活自立に関する支援は含まれていない。
この選択肢は、不正解です。
被保護者就労準備支援事業では、「社会生活自立に関する支援」が含まれます。とはいえ、「社会生活自立とは何か?」についてイマイチピンときませんよね。
まず前提として、被保護者就労準備支援事業には次の2つの役割があります。
1.日常生活自立に向けた基本的な生活習慣に関する支援
2.社会生活自立に関する支援




まとめ
最後に今回のテーマである「生活保護受給者に対する就労支援事業とワークフェアとは?」のおさらいをしておきましょう。
1.ワークフェアとは就労支援を受けることが生活保護の受給要件となっており、そのような支援プログラムを受けないと生活保護の継続を打ち切るような福祉政策のことをいう。
2.就労支援を受けることは、生活保護受給を継続する要件ではない。
3.生活保護受給者に対する就労支援では、本人の同意を得て自立活動確認書の作成を求める。
4.被保護者就労準備支援事業の対象者には、公共職業安定所に求職の申し込みをすることが義務付けられていない。
5.被保護者就労準備支援事業には、社会生活自立に関する支援は含まれている。

特に、被保護者就労準備支援事業については理解を深めておきましょう。

福祉イノベーションズ大学では、社会福祉士国家試験の合格に向けて試験に出る箇所を中心に、情報発信をしています。
「参考書や問題集を解いただけではわからない…。」という方は、今後も参考にしてください!
今回の授業は、以上です!
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