今日も社会福祉士国家試験の合格に向けて一緒に勉強していきましょう!今回のテーマは、「【わかりやすく】ジニ係数とは、どのような社会指標なのか?」です。では、授業を始めていきましょう。

*今回の記事の構成として、初めにジニ係数に関する基本問題を出題します。その後、問題の解答解説を行い、理解が深められる構成になっています。
問)次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1.ジニ係数は、所得格差を示す指標である。
2.ジニ係数は、値が大きいほど格差が小さいことを示す。
3.ジニ係数は、0から10までの値をとる。
4.ジニ係数は、社会福社会の福祉水準を測定する社会指標となる。
5.ジニ係数は、所得分布全体に占める低所得層の比率を示す。
答え)1.ジニ係数は、所得格差を示す指標である。


1限目:ジニ係数は、所得格差を示す指標である
まず、ジニ係数とはどのような考え方なのか?について分かりやすく解説していきます。
選択肢の「1」に注目して下さい。
1.ジニ係数は、所得格差を示す指標である。
この選択肢は、正解です。
ジニ係数は、所得のような計量可能な変数の偏りを表し、「所得分配の格差」や「不平等度」を数値化して表します。


2限目:所得の再分配という考え方
ここでは、「所得の再分配」という考え方について簡単にご紹介します。
所得の再分配とは、簡単に言えば、大企業や高額所得者など所得の大きいところにはより多くの税を負担してもらい、それを社会保障給付などの形で渡すことで、所得の低い人も安定した生活ができるようにする仕組みのことを指します。
では、なぜこのような仕組みが必要なのでしょうか。
まず前提として、資本主義の社会では何もしなければ貧富の格差が広がる一方であると言われています。詳しくは、トマ・ピケティの「21世紀の資本」を参考にしてみてください。
そのため、この問題を是正するための仕組みが必要なんです。それが「所得の再分配」という仕組みです。
資本主義の経済では、働く者が働いてつくり出す価値(商品)が富の源泉となります。そして、それが企業の利潤や賃金などのかたちで分配される構造になっています。
しかし、資本主義社会の初期には、利潤追求のための競争がなんの規制もありませんでした。結果として、自由に市場経済が形成され、労働者は非人間的な長時間労働と低賃金を強いられるようになり、過酷に搾取される状況になっていきました。
それに加えて、徴収された税金の多くは、軍事費や国家権力を握る人たちに都合よく使われていました。結果として、国民の日々の生活に対して国はお金を使わなくなり、不平等がどんどん広がったという歴史があります。


3限目:ジニ係数の値が意味するもの
次に、ジニ係数の値について確認していきましょう。
選択肢の「2」「3」に注目して下さい。
2.ジニ係数は、値が大きいほど格差が小さいことを示す。
3.ジニ係数は、0から10までの値をとる。
これらの選択肢は、不正解です。
ジニ係数の値は最小値が「0」で、最大値が「1」と決められています。
また、ジニ係数の最小値「0」は、配分が完全に平等な状態を表しています。
一方で、ジニ係数の値が大きくなればなるほど所得の分配は不平等だということになり、ジニ係数の最大値である「1」は、所得配分が完全に特定の層に集中してる状態を意味します。


4限目:幸福度指標は社会の福祉水準を測定する
次に、幸福度指標という考え方について学習しておきましょう。
選択肢の「4」に注目してください。
4.ジニ係数は、社会福社会の福祉水準を測定する社会指標となる。
この選択肢は、不正解です。
この選択肢の説明は「幸福度指標」を表しています。
社会指標の一つである幸福度指標は、人々の幸福感という指標を上位においています。
つまり、その国々に生活している国民の主観に注目している指標になります。そして、「物質的な生活条件」や「生活の質」との相関性を重視しながら、福祉水準を測定する社会指標でもあります。


5限目:絶対的貧困と相対的貧困の違い
最後に、相対的貧困率という考え方について学習しておきましょう。
選択肢の「5」に注目してください。
5.ジニ係数は、所得分布全体に占める低所得層の比率を示す。
この選択肢は、不正解です。
所得分布全体に占める低所得層の比率を示すのは、「相対的貧困率」のことです。
そもそも、相対的貧困とは何なのでしょうか。
貧困の定義には複数のものがありますが、大きく「絶対的貧困」と「相対的貧困」に分かれます。
絶対的貧困とは、人間として最低限の生存を維持することが困難な状態を指します。例えば、飢餓に苦しんでいたり、医療を受けることがままならない人がこの状態に該当します。
一方で、相対的貧困とは、その国の文化水準、生活水準と比較して困窮した状態を指します。そして、社会福祉士国家試験で注目されるのが「子どもの相対的貧困」です。
じつは、相対的貧困下では、「(その人が、)貧困の状態にあるのか?」を判別するのが難しいという特徴があります。なぜなら、一見すると普通の生活をしているように見えるからです。
例えば、貧困家庭の子どもたちは、普通に学校に通い、生活に必要なものはもちろん、スマホやゲーム機を持つといった貧困世帯は多く存在します。これだけ聞くと、「なんだ!全然、大丈夫じゃん!」と思えますよね。
しかし、そういった家庭では、子どもの進学に関するお金を準備できず、金銭的な理由で大学を断念するということがしばしばあります。また、高校生になってからは、生活費や進学費を稼ぐために、毎日アルバイトをする必要があるなど、学生の本分である勉強がおろそかになることもあります。

相対的貧困って大変な問題なんだね。
例えば、私達は明らかに飢えている人を見れば、さすがに貧困な状態であると認めることができます。




そういう相対的貧困の状態を知るための指標として「相対的貧困率」があるんだね。
まとめ
最後に今回のテーマである「【わかりやすく】ジニ係数とは、どのような社会指標なのか?」のおさらいをしておきましょう。
1.ジニ係数は、所得格差を示す指標である。
2.ジニ係数は、値が大きいほど格差が大きいことを示す。
3.ジニ係数は、0から1までの値をとる。
4.幸福度指標は、社会福社会の福祉水準を測定する社会指標となる。
5.相対的貧困率は、所得分布全体に占める低所得層の比率を示す。

ジニ係数を考えるときは、「所得の再分配」がポイントなんだね!

福祉イノベーションズ大学では、社会福祉士国家試験の合格に向けて試験に出る箇所を中心に、情報発信をしています。
「参考書や問題集を解いただけではわからない…。」という方は、今後も参考にしてください!
今回の授業は、以上です!
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