【わかりやすく】自己決定の尊重とは?支援する上での注意点

社会福祉士・合格問題編
皆さん、こんにちは!いっちー教授(@free_fukushi)です。

今日も社会福祉士国家試験の合格に向けて一緒に勉強していきましょう!今回のテーマは、「【わかりやすく】自己決定の尊重とは?支援する上での注意点」です。では、授業を始めていきましょう。

いっちー教授
いっちー教授

 

*今回の記事の構成として、初めに専門職が支援するうえで意識すべき事柄に関する問題を出題します。その後、問題の解答解説を行い、理解が深められる構成になっています。

 

問)次の記述のうち、正しいものを2つ選びなさい。

1.利用者に判断能力の低下が疑われる場合は、専門職が主導して支援のあり方を決めなければならない。

2.利用者が自己決定しようとしているときは、より早く結論が得られるよう促さなければならない。

3.利用者が自己決定できるように、専門的知識や情報を提供するなど、決定の過程を支援しなければならない。

4.利用者が自己決定した事柄については、専門的判断を行わずに従わなければならない。

5.利用者が支援を望んでいない場合においても、利用者の自己決定の介入が必要であると判断されることがある。

 

答え)3.利用者が自己決定できるように、専門的知識や情報を提供するなど、決定の過程を支援しなければならない。

答え)5.利用者が支援を望んでいない場合においても、利用者の自己決定の介入が必要であると判断されることがある。

 

今回は、ソーシャルワーカーが意識すべき事柄について学習していきましょう。
いっちー教授
いっちー教授
にゃー吉
にゃー吉
わかりました!



1限目:自己決定を促す支援をする

まず、ソーシャルワーカーが意識すべき「自己決定の尊重」という考えについて学習していきましょう。選択肢の「1」に注目してください。

1.利用者に判断能力の低下が疑われる場合は、専門職が主導して支援のあり方を決めなければならない。

この選択肢は、不正解です

利用者に判断能力の低下が疑われる場合であっても、援助者が主導で利用者への支援のあり方を決定してはいけません。この場合、利用者には「自己決定を行う潜在能力がある」という考えをもとに支援を進めていきます。

 

にゃー吉
にゃー吉
なるほどね。たとえ判断能力が疑われ場合であっても、自己決定ができるように支援するのがソーシャルワーカーの役割なんだね。
おっしゃるとおりです!
特に「利用者には自己決定を行う潜在能力がある」と考えるのは基本中の基本です。
いっちー教授
いっちー教授
にゃー吉
にゃー吉
その潜在能力を引き出せるように、ソーシャルワーカーは支援をしないとけいないね!

 

2限目:自己決定の結論を急がせない

次も、自己決定の尊重という考え方について確認していきましょう。

選択肢の「2」に注目してください。

2.利用者が自己決定しようとしているときは、より早く結論が得られるよう促さなければならない。

この選択肢は、不正解です

援助者は、利用者の自己決定の結論を急がせてはならないと考えられています。また利用者の自己決定の援助においては、利用者を個別援助の過程(プロセス)に積極的に参加させることが重要です。

 

この「自己決定の結論を急がせない」という視点は非常に重要です。
いっちー教授
いっちー教授
にゃー吉
にゃー吉
たしかに、すぐに結論を出せるような人ばかりじゃないもんね。
おっしゃるとおりです!そもそも、支援を必要としている本人自体、どう考えたらいいのかわからない…ということは本当によくあることなんです。
いっちー教授
いっちー教授
にゃー吉
にゃー吉
なるほど。だからこそ結論を急がせることなく、本人が納得できる形で自己決定を促すことが重要なんだね。
その通りです!
いっちー教授
いっちー教授

 

3限目:自己決定の過程を支援する

次に、自己決定の過程を支援するという考え方を学習していきましょう。

選択肢の「3」に注目してください。

3.利用者が自己決定できるように、専門的知識や情報を提供するなど、決定の過程を支援しなければならない。

この選択肢は、正解です

利用者の自己決定の援助においては、利用者を個別援助の過程に積極的に参加させ、援助者は専門的知見から支援することが大切だと考えられます。また社会福祉士の倫理綱領によれば、「利用者に必要な情報を適切な方法・わかりやすい表現を用いて提供し、利用者の意見・意思を確認すべき」とあります。

 

にゃー吉
にゃー吉
どういうこと?
例えば、認知症高齢者の方の支援の方向性を決めるとします。
いっちー教授
いっちー教授
にゃー吉
にゃー吉
ふむふむ。
この時、「認知症なんだから、支援の方向性について話しあいの過程に参加しても全くわからないでしょ?」と専門性が考えたらどうなりそうですか?
いっちー教授
いっちー教授
にゃー吉
にゃー吉
支援対象者に関する支援を決めるのに、全く意見が反映されないよね?
おっしゃるとおりです!また、その支援過程を決める上では、支援対象者と専門職が全く同じ知識・情報を持っているかといえばそんなことはありませんよね?
いっちー教授
いっちー教授
にゃー吉
にゃー吉
たしかに、そうだよね!
そういった事柄のことを「情報の非対称性」といいます。だからこそ、利用者を個別援助の過程(プロセス)に積極的に参加させ、専門職が自己決定のための情報を提供することが重要なんです。
いっちー教授
いっちー教授
にゃー吉
にゃー吉
なるほど。本人に対する支援だから、本人の意見や考え方を十分に引き出して、それを支援の方向性に反映させていくということなんだね!



4限目:支援対象者が不適切な判断をしてしまった場合

次に、支援対象者が不適切な判断をしてしまった場合について学習していきましょう。

選択肢の「4」に注目してください。

4.利用者が自己決定した事柄については、専門的判断を行わずに従わなければならない。

この選択肢は、不正解です

利用者が自己決定した事柄が不適切だと判断された場合、援助者は利用者の自己決定に介入します。

しかし、その介入は利用者の価値観に介入することを意味するため、利用者本人の人格を尊重し、専門的判断による支援を行うことが望ましいとされます。

 

要するに、明らかに支援対象者が間違った自己決定をしてしまった場合に関しては、その決定を否定(もしくは訂正)する必要があるということです。
いっちー教授
いっちー教授
にゃー吉
にゃー吉
なるほど。
でも、間違った自己決定って何?
例えば、引きこもりの小中学生の支援を進める過程で「自分をいじめた奴ら、全員殺す」といった自己決定をしたらどうでしょうか?
いっちー教授
いっちー教授
にゃー吉
にゃー吉
そんな!
それじゃ、殺人罪で捕まっちゃうよ!
そうですよね?間違った自己決定とは、こんな感じです。こういった場合、その支援対象者の考え方を修正するように介入しなければなりません。
いっちー教授
いっちー教授
にゃー吉
にゃー吉
なるほどね。基本的に支援対象者の自己決定を尊重するけど、そういった場合は修正しなければいけないんだね。

 

5限目:支援対象者が支援の必要性を自覚していない場合

最後に、支援対象者が支援の必要性を自覚していない場合について学習していきましょう。

選択肢の「5」に注目してください。

5.利用者が支援を望んでいない場合においても、利用者の自己決定の介入が必要であると判断されることがある。

この選択肢は、正解です

利用者自身が支援を望んでいない場合であっても、利用者の自己決定の介入が必要かどうか判断することが援助者に求められます。

 

こういったケースは意外と多いです。
いっちー教授
いっちー教授
にゃー吉
にゃー吉
でもさ、本人が支援の必要性を求めていないなら支援を進めるのは難しくない?
そういった場合は「アウトリーチ」という手法を取ります。
いっちー教授
いっちー教授
にゃー吉
にゃー吉
アウトリーチ?
アウトリーチとは、支援が必要であるにもかかわらず届いていない人に対し、行政や支援機関などが積極的に働きかけて情報・支援を届けるプロセスのことをいいます。
いっちー教授
いっちー教授
にゃー吉
にゃー吉
具体的に、アウトリーチにはどういうものがあるの?
例えば、支援が明らかに必要な独居老人が地域にいた場合、定期的に自宅訪問をするといったこともアウトリーチに入りますよ。
いっちー教授
いっちー教授
にゃー吉
にゃー吉
なるほどね!そうやって専門職から進んで介入することで、支援を受け入れてもらうことが少しずつ可能になるんだね!
おっしゃるとおりです!
いっちー教授
いっちー教授

 

まとめ

 

最後に今回のテーマである「【わかりやすく】自己決定の尊重とは?支援する上での注意点」のおさらいをしておきましょう。

1.利用者に判断能力の低下が疑われる場合であっても、援助者が主導で利用者への支援のあり方を決定してはいけない。

2.利用者が自己決定しようとしているときは、自己決定の結論を急がせてはならない。

3.利用者が自己決定できるように、専門的知識や情報を提供するなど、決定の過程を支援しなければならない。

4.利用者が自己決定した事柄が不適切だと判断された場合、援助者は利用者の自己決定に介入する。

5.利用者が支援を望んでいない場合においても、利用者の自己決定の介入が必要であると判断されることがある。

 

社会福祉士国家試験では、援助者が支援する上で意識すべき事柄に関する問題が出題されることがあります。なので早い段階でこれらの報告の内容については押さえておきましょう。
いっちー教授
いっちー教授

 

福祉イノベーションズ大学では、社会福祉士国家試験の合格に向けて試験に出る箇所を中心に、情報発信をしています。

参考書や問題集を解いただけではわからない…。」という方は、今後も参考にしてください!

今回の授業は、以上です!



Follow me!

コメント

タイトルとURLをコピーしました