【わかりやすく】シーボーム報告を含む5つの報告の内容を解説

社会福祉士・合格問題編
皆さん、こんにちは!いっちー教授(@free_fukushi)です。

今日も社会福祉士国家試験の合格に向けて一緒に勉強していきましょう!今回のテーマは、「【わかりやすく】シーボーム報告を含む5つの報告の内容を解説」です。では、授業を始めていきましょう。

いっちー教授
いっちー教授

 

*今回の記事の構成として、初めにシーボーム報告を含む5つの報告に関する基本問題を出題します。その後、問題の解答解説を行い、理解が深められる構成になっています。

 

問)次の記述のうち、正しいものを2つ選びなさい。

1.シーボーム報告(1968年)は、社会サービスにおけるボランティアの役割は、専門家にできない新しい社会サービスを開発することにあることを強調した。

2.エイブス報告(1969年)は、地方自治体がソーシャルワークに関連した部門を統合すべきであることを勧告した。

3.ウェルフェンデン報告(1978年)は、民間組織(ボランタリー組織)の将来の在り方について検討した報告書である。

4.バークレイ報告(1982年)は、コミュニティを基盤としたカウンセリングと社会的ケア計画を統合した実践であるコミュニティソーシャルワークを提唱した。

5.グリフィス報告(1988年)は、コミュニティケアの基礎となるナショナルミニマムの概念を提唱した。

 

答え)3.ウェルフェンデン報告(1978年)は、民間組織(ボランタリー組織)の将来の在り方について検討した報告書である。

答え)4.バークレイ報告(1982年)は、コミュニティを基盤としたカウンセリングと社会的ケア計画を統合した実践であるコミュニティソーシャルワークを提唱した。

 

にゃー吉
にゃー吉
いろんな報告が出てきて、分かりにくいなぁ。。。
そう思いますよね。
そこで今回は、これらの報告の内容についてわかやすく解説していきます。
いっちー教授
いっちー教授



1限目:シーボーム報告は包括的なアプローチを目指した

まず、シーボーム報告とはどのような報告だったのかについて確認していきましょう。

選択肢の「1」に注目してください。

 

1.シーボーム報告(1968年)は、社会サービスにおけるボランティアの役割は、専門家にできない新しい社会サービスを開発することにあることを強調した。

 

この選択肢は、不正解です

シーボーム報告では、分野別にサービスが提供されるのではなく、単一の部局による包括的なアプローチが目指しました

 

にゃー吉
にゃー吉
う~ん?どういうこと?
今までのソーシャルワークでは、例えば高齢分野、児童分野、障害分野といったようにそれぞれの専門分野をもとに支援が進められていました。
いっちー教授
いっちー教授
にゃー吉
にゃー吉
たしかに、高齢分野の専門家、児童分野の専門家、障害分野の専門家って分けておいた方が専門的な支援が行えるんじゃない?
しかしシーボー厶報告では、そういった専門分野ごとによる支援ではなく、それをひとくくりにすべきだと考えました。
いっちー教授
いっちー教授
にゃー吉
にゃー吉
何で、そう考えたの?
問題が多岐にわたっている人に対する支援が届かない場合があるからです。
いわゆる「制度の狭間にある人達」です。
いっちー教授
いっちー教授
にゃー吉
にゃー吉
例えば?
例えば、高齢者の方といっても元々は障害を持っている場合もあります。この場合、高齢分野だけに特化した支援に加えて、障害分野の知識や技術も必要になってきます。
いっちー教授
いっちー教授
にゃー吉
にゃー吉
たしかに、障害を持っている方に対しては特別な支援が必要な場合もあるもんね。
そうですね。そういった場合、高齢分野だけに特化しているとその方に対する適切な支援が行えなくなる可能性があります。
いっちー教授
いっちー教授
にゃー吉
にゃー吉
なるほど。だから、高齢分野、児童分野、障害分野みたいに分けるのではなくそれらを包括的にアプローチすべきって考えたんだね。
おっしゃる通りです。ある特定の個人が問題を抱えている場合、その問題の内容がひとつだけとは限りません。むしろ、色々な問題が複雑に絡まっている場合の方が多いです。そういった人たちに対する支援をするために、シーボー厶報告では包括的なアプローチが求められているんです。
いっちー教授
いっちー教授
にゃー吉
にゃー吉
なるほどね。
またシーボーム報告を覚えるコツは、【それぞれの専門分野を一つに、しぼ〜んでいく(シーボーム)】と考えると覚えやすいですよ(笑)
いっちー教授
いっちー教授

 

2限目:エイブス報告はボランティアの役割を述べた

次に、エイブス報告とはどのような報告だったのかについて確認していきましょう。

選択肢の「2」に注目して下さい。

 

2.エイブス報告(1969年)は、地方自治体がソーシャルワークに関連した部門を統合すべきであることを勧告した。

 

この選択肢は、不正解です

エイブス報告は、社会福祉分野のボランティアの役割に関する報告書です。この報告書によると、ボランティアには新しい社会サービスを開発する役割があり、ソーシャルワーカーから押し付けられるものではないとしました。

 

エイブス報告の内容は、日本で言うところの阪神淡路大震災の時などがあるのではないでしょうか。例えば、阪神淡路大震災(1995年)の時は、ボランティアの方々が被災地に訪れ、被災者に対して支援をしてくれていました。
いっちー教授
いっちー教授
にゃー吉
にゃー吉
たしか、その時からボランティアに対する考え方が普及したんだよね。
おっしゃるとおりです。そして3年後、1998年に特定非営利活動促進法が生まれ、ボランティア活動などを法人単位でやるという仕組みが導入されました。
いっちー教授
いっちー教授
にゃー吉
にゃー吉
まさに、ボランティア活動がきっかけで新たな社会サービスが生まれたってことだね。
そうですね。特定非営利活動促進法により様々な NPO 法人が生まれ、今ではNPO法人の活躍により、様々な社会問題が改善・解決されるようになってきましたね。また、彼らの活動は特定の専門職からの押し付けではありません。
いっちー教授
いっちー教授

 

3限目:ウェルフェンデンや報告は社会福祉サービスの供給システムを唱えた

次に、ヴェルフェンデン報告とはどのような報告だったのかについて分かりやすく解説していきます。

選択肢の「3」に注目して下さい。

 

3.ウェルフェンデン報告(1978年)は、民間組織(ボランタリー組織)の将来の在り方について検討した報告書である。

 

この選択肢は、正解です

ウェルフェンデン報告では、社会サービスの供給システムついて、インフォーマル部門公的部門民間営利部門民間非営利部門に分け、福祉多元主義を打ち出しました。

 

福祉多元主義とは

さまざまな実施主体により、福祉の供給に努めていこうとする考え方である。

 

さらに、コミュニティケアを展開するためには各部門の連携が重要であるとして、とりわけ「インフォーマルネットワーク」を重視しました。

 

にゃー吉
にゃー吉
インフォーマルネットワークってなに?
インフォーマルネットワークとは、個人が取り結んでいる人的関係のことです。例えば、家族、親族、非親族の関係がこれに該当します。
いっちー教授
いっちー教授
にゃー吉
にゃー吉
なるほど。そういった人たちとの関係がコミュニティケアを推進するのに重要であるとウェルフェンデン報告では述べられているんだね。
おっしゃるとおりです。
いっちー教授
いっちー教授



4限目:バークレイ報告はソーシャルワーカーの役割を述べた

次に、バークレイ報告とはどのような報告だったのかについて確認しておきましょう。

選択肢の「4」に注目して下さい。

 

4.バークレイ報告(1982年)は、コミュニティを基盤としたカウンセリングと社会的ケア計画を統合した実践であるコミュニティソーシャルワークを提唱した。

 

この選択肢は、正解です

バークレイ報告とは、ソーシャルワーカーの役割について検討された報告書です。

この報告書では、それまでの伝統的なケースワーク、グループワーク、コミュニティワークを統合した、コミュニティソーシャルワークを提言しています。

 

にゃー吉
にゃー吉
コミュニティワークコミュニティソーシャルワークって何が違うの?
良い質問ですね!コミュニティワークは間接援助であるのに対し、コミュニティソーシャルワークは直接援助であるということです。
いっちー教授
いっちー教授
にゃー吉
にゃー吉
間接援助?直接援助?
直接援助とは、クライエントに対して援助者が直接関わることを指します。
一方で間接援助は、環境に対してはたらきかけていくことを指します。
いっちー教授
いっちー教授
にゃー吉
にゃー吉
なるほど。つまり、コミュニティソーシャルワークはクライエントに直接働きかける援助技術で、コミュニティワークは地域に働きかける援助ってこと?
おっしゃるとおりです。
いっちー教授
いっちー教授

 

5限目:グリフィス報告ではコミュニティケアの策定を提案

次に、グリフィス報告とはどのような報告だったのかについて分かりやすく解説していきます。

選択肢の「5」に注目してください。

 

5.グリフィス報告(1988年)は、コミュニティケアの基礎となるナショナルミニマムの概念を提唱した。

 

この選択肢は、不正解です

グリフィス報告では、コミュニティケア進展の遅れは財政保障の仕組みがないためであるとして、地方自治体ごとにコミュニティケア計画を策定することなどが提案されました。

 

にゃー吉
にゃー吉
そもそも、コミュニティケアってなに?
コミュニティケアは、社会福祉の諸分野において、施設から地域へという流れの中で生まれた概念や実践のことをいいます。
いっちー教授
いっちー教授
にゃー吉
にゃー吉
施設から地域へという部分は、脱施設化の考え方と一致するね!
おっしゃるとおりです。これは、支援の対象となる方(高齢者や障害者等)を特別な施設の中だけで処遇するのではなく、できる限り地域の中で、地域とのつながりを保ちながら処遇するというものです。
いっちー教授
いっちー教授
にゃー吉
にゃー吉
なるほど。
施設から地域社会の中で支援することをコミュニティケアっていうんだね!
ですが地域社会で暮らすということは、施設内でケアをするよりもお金がかかることはわかりますか?
いっちー教授
いっちー教授
にゃー吉
にゃー吉
たしかに、施設であればケアをするための機器も人材も揃っているよね。一方で、地域社会の中で同じようなケアをするとなると機器に対しても人材に対してもますますお金がかかってくるよね。
おっしゃるとおりです。だからこそ、財政の仕組みが重要なんです。どこからお金を徴収するのかどのようにお金を使うのかを決めておかなければコミュニティケアは絵に描いた餅になります。
いっちー教授
いっちー教授
にゃー吉
にゃー吉
なるほど。だから財政保障の仕組みがないから、地方自治体ごとにコミュニティケア計画を作成して、どうすればコミュニティケアを実践できるのかを考えたんだね。

 

まとめ

最後に今回のテーマである「【わかりやすく】シーボーム報告を含む5つの報告の内容を解説」のおさらいをしておきましょう。

1.シーボーム報告(1968年)は、シーボーム報告では、分野別にサービスが提供されるのではなく、単一の部局による包括的なアプローチが目指した。

2.エイブス報告(1969年)は、社会福祉分野のボランティアの役割に関する報告書である。

3.ウェルフェンデン報告(1978年)は、民間組織(ボランタリー組織)の将来の在り方について検討した報告書である。

4.バークレイ報告(1982年)は、コミュニティを基盤としたカウンセリングと社会的ケア計画を統合した実践であるコミュニティソーシャルワークを提唱した。

5.グリフィス報告(1988年)は、コミュニティケア進展の遅れは財政保障の仕組みがないためであるとして、地方自治体ごとにコミュニティケア計画を策定することなどが提案された。

 

社会福祉士国家試験では、これらの報告について出題されます。
なので早い段階でこれらの報告の内容については押さえておきましょう。
いっちー教授
いっちー教授
にゃー吉
にゃー吉
色々な報告があって分かりにくいけど、一生懸命覚えないとね!

 

福祉イノベーションズ大学では、社会福祉士国家試験の合格に向けて試験に出る箇所を中心に、情報発信をしています。

参考書や問題集を解いただけではわからない…。」という方は、今後も参考にしてください!

今回の授業は、以上です!



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