【わかりやすく】ソーシャルインクルージョンとは?・その具体例を解説

社会福祉士・合格問題編
皆さん、こんにちは!いっちー教授(@free_fukushi)です。

今日も社会福祉士国家試験の合格に向けて一緒に勉強していきましょう!今回のテーマは、「【わかりやすく】ソーシャルインクルージョンとは?・その具体例を解説」です。では、授業を始めていきましょう。

いっちー教授
いっちー教授

 

*今回の記事の構成として、初めに社会福祉士国家試験に出題される用語に関する基本問題を出題します。その後、問題の解答解説を行い、理解が深められる構成になっています。

 

問)次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

1.ソーシャルインクルージョンとは、すべての人々を排除せず、包摂し、共に生きることができる社会を目指す考え方である。

2.ローカルガバナンスとは、地方自治体における議会による統治を意味する概念である。

3.地域福祉における住民主体の原則とは、サービス利用者としての地域住民の主体性を重視した考え方である。

4.脱施設化とは、児童と高齢者が福祉施設から地域生活に移行していくための取り組みを指す。

5.社会的企業とは、企業による収益拡大を目的とした新規事業開発のことを指す概念である。

 

答え)1.ソーシャルインクルージョンとは、すべての人々を排除せず、包摂し、共に生きることができる社会を目指す考え方である。

 

にゃー吉
にゃー吉
ソーシャルインクルージョンって、よく聞く単語だよね。
福祉を学んでいる人なら一度は聞いたことがあるかもしれません。そこで今回は、ソーシャルインクルージョンの考え方も含め、その他の重要用語について確認していきましょう。
いっちー教授
いっちー教授



1限目:ソーシャルインクルージョンは共生社会を目指す

まず、ソーシャルインクルージョンとはどのような考え方なのかについてわかりやすく解説していきます。

選択肢の「1」に注目してください。

 

1.ソーシャルインクルージョンとは、すべての人々を排除せず、包摂し、共に生きることができる社会を目指す考え方である。

 

この選択は、正解です

ソーシャルインクルージョンでは、選択肢のような考え方を意味し、その実現に向けた社会を目指しています。では、そもそもソーシャルインクルージョンはなぜ誕生したのでしょうか。

ソーシャルインクルージョンの考え方はもともと、フランス・EU諸国での社会的・経済的格差の問題から生まれた言葉だと考えられています。特に、1970年代は重要な年代です。

この年代では、フランスが戦後復興と福祉国家の諸制度などを整い始めていました。しかし、そんな中でも社会の一員としてなかなか受け入れられない人達もいました。このことを、「ソーシャルエクスクルージョン(社会的排除)」と呼びます。

その後、1980年代に入って、ヨーロッパ全体で若者の失業問題が社会問題化しました。その際に、「ソーシャルエクスクルージョン」という言葉が広く注目され、同時にその対義語として「ソーシャル・インクルージョン(社会的包摂)」という言葉が生まれました。

 

にゃー吉
にゃー吉
ソーシャルインクルージョンと聞くと、障害を持つ人を社会の一員として考えるみたいなイメージがあったけど、障害者だけに対する考え方ではなかったんだ。
おっしゃるとおりです。また、フランスでは移民の問題もありました。そのため、ソーシャルインクルージョンではそういった移民の人たちに向けての考え方でもあったのです。
いっちー教授
いっちー教授
にゃー吉
にゃー吉
なるほど。でもさ、日本ではソーシャルインクルージョンについての理解はどのくらい進んでいるの?
じつは、日本でのソーシャルインクルージョンに対する理解はあまり進んでいないのが現状です。実際、ソーシャルインクルージョンについて知っている人といえば、福祉の勉強をしている人くらいだと思います。
いっちー教授
いっちー教授
にゃー吉
にゃー吉
じゃあ日本では、ソーシャルインクルージョンに関する取り組みはないんだ。
それがそうでもないんです。例えば、三井住友銀行では、多様な人材に活躍してもらうためにソーシャルインクルージョンに対する取り組みを積極的に行なっています。
いっちー教授
いっちー教授
にゃー吉
にゃー吉
三井住友銀行って、銀行だよね?
おっしゃるとおりです。三井住友銀行では、2008年にSMBCグリーンサービスを設立し、障害者雇用を推進しています。またグローバル人材の受け入れにも積極的で、三井住友銀行にはグローバル人事室と呼ばれる部門があり、海外で採用された人材を国内の事業所にて研修する仕組みも整えているんですよ。
いっちー教授
いっちー教授
にゃー吉
にゃー吉
障害者や外国人を日本社会の一員として受け入れるように取り組んでいるんだね。
そうですね。
まさに、ソーシャルインクルージョンの考え方を実践している企業と言えるでしょう。
いっちー教授
いっちー教授

 

2限目:ローカルガバナンスは地方自治体の意思決定の仕方を決める

次に、ローカルガバナンスについて確認していきましょう。

選択肢の「2」に注目してください。

 

2.ローカルガバナンスとは、地方自治体における議会による統治を意味する概念である。

 

この選択肢は、不正解です

ローカルガバナンスには、地方自治体の意思決定の仕方・方法を様々な主体が一体となって行うという意味があります

 

にゃー吉
にゃー吉
う〜ん。いまいち、ローカルガバナンスについてわからないなぁ(笑)
ローカルガバナンスに考える前に、まず「ガバナンス」という言葉について知っておきましょう。
いっちー教授
いっちー教授

 

ガバナンスとは、統治または統治の機構、統治の方法という意味があります。これらの意味から基本的に、ガバナンスは、組織や企業などの団体の内部の統治システムを言い表す言葉として使われます。

ガバナンスを理解する際のポイントは、「皆で話し合って決める」ということです。例えば、会社には、経営者(社長、会長、理事、役員等)、従業員、取引先、株主など、利害関係のある人同士がいます。

※こういった関係のことを「ステークホルダー」と呼びます。

しかしもし仮に、会社経営をすすめる際、社長の意見や考え方だけでその会社の経営を進めたらどうなるでしょうか?この場合、社員や株主の考えや意見は一切、反映されませんよね。それでは、健全な経営をしているとは言えません。会社を運営しているのは社長だけでなく社員もいますし、会社は株主のものです。

 

にゃー吉
にゃー吉
なるほど。皆で話し合って会社経営の方向を決めるために、ガバナンスという仕組みがあるんだ!でも、ローカルってなに?
ここで言うローカルとは、地方自治体のことを指します。つまり、地方自治体が何か取り決めをする際に、誰か一人が決めるのではなく皆で決めていこうね?という意味があるんです。
いっちー教授
いっちー教授
にゃー吉
にゃー吉
なるほど。だから、ローカルガバナンスは、地方自治体(住民同士)の意思決定の仕方・方法って意味になるんだね!
おっしゃるとおりです。
いっちー教授
いっちー教授

 

3限目:住民主体の原則が重要である

次に、住民主体の原則について確認していきましょう。

選択肢の「3」に注目して下さい。

 

3.地域福祉における住民主体の原則とは、サービス利用者としての地域住民の主体性を重視した考え方である。

 

この選択は、不正解です

住民主体の原則は、地域住民の解決に向けて住民の自主的な活動への参加や協力及び主体性を大切にした組織化の推進等を重視した考え方を指します。つまり、「地域福祉の担い手として、地域住民が積極的に取り組んでいきましょう!」というのが住民主体の原則です。

 

にゃー吉
にゃー吉
そもそも、住民主体の原則はいつから注目されるようになったの?
良い質問ですね!住民主体の原則は、1962年に制定された社会福祉協議会基本要項において、社会福祉協議会の活動原則として規定されたのが始まりだとされています。
いっちー教授
いっちー教授
にゃー吉
にゃー吉
1962年かぁ〜。結構、昔だね。
そうですね。地域福祉の推進は、地域住民自らが行うことをモットーにするために、戦後早い段階で行われてきました。
いっちー教授
いっちー教授



4限目:脱施設化は児童と高齢者に限定されない

次に、脱施設化という考え方について確認しておきましょう。

選択肢の「4」に注目してください。

 

4.脱施設化とは、児童と高齢者が福祉施設から地域生活に移行していくための取り組みを指す。

 

この選択肢は、不正解です

脱施設化は、児童と高齢者に対象を限定した取り組みではありません。その他にも、障害者の方に対する脱施設化という考え方もあります。

 

にゃー吉
にゃー吉
そもそも、脱施設化ってなに?
脱施設化とは、施設での生活から地域社会での生活に移行することを指します。もともと、日本では、障害者や高齢者などを人目につかない山奥などの施設に入れるという習慣がありました。
いっちー教授
いっちー教授
にゃー吉
にゃー吉
え!なんでそんなことするの?
すごく複雑な要因が絡んでいるので、一概には言えないのですが、、、昔の考えとしては、「家庭(もしくは、地域)でお世話をできない人は施設に入れて集中的にお世話をする」という考え方が根強かったんですね。
いっちー教授
いっちー教授
にゃー吉
にゃー吉
たしかに、三世代家族から核家族世帯に代わって家庭で高齢者や障害者の方などのお世話をするのが難しくなってきた背景もあるよね。
おっしゃる通りです。そういった社会の背景もあり、施設化という考え方が進んでいきました。しかし、ここで問題が発生します。
いっちー教授
いっちー教授
にゃー吉
にゃー吉
え?どんな問題が起きたの?
本来は、そこまで重度でなく地域社会で問題なく生活できる人までもが施設に入ることになってしまったんです。それにより、地域社会との関係が途絶え、施設内での生活を強いられるということが社会問題化したんです。
いっちー教授
いっちー教授
にゃー吉
にゃー吉
なるほど。そういった背景もあって、脱施設化という考え方が生まれたんだね。
そうですね。施設という小さな社会でなく、地域社会という関わりの中で高齢者、障害者の方などが社会参加できる仕組みを整えていこうとする動きが近年あります。
いっちー教授
いっちー教授

 

5限目:社会的企業は社会問題の解決が改善を図る

最後に、社会的企業とは何なのかについて分かりやすく解説していきます。

選択肢の「5」に注目してください。

 

5.社会的企業とは、企業による収益拡大を目的とした新規事業開発のことを指す概念である。

 

この選択肢は、不正解です

社会的企業とは、社会問題の解決や改善を図ることを目的にした収益事業を起こすことを指します。

 

にゃー吉
にゃー吉
社会的企業について、わかったような、わからないようなぁ(笑)具体的にどんな活動があるの?
有名なところでは、株式会社HASUNAです。この会社は日本のジュエリーブランドの会社なんですが、この会社が改善した社会問題は採掘現場での劣悪な労働条件です。
いっちー教授
いっちー教授
にゃー吉
にゃー吉
採掘現場??
ジュエリーブランドということは、宝石や貴金属などの採掘現場があるということです。またそこから仕入れを行っているわけですが、じつはよくよく調べてみると、採掘現場で働いている人たちの労働条件はすごく劣悪で、さらに賃金もものすごく安かったという事実が判明しました。
いっちー教授
いっちー教授
にゃー吉
にゃー吉
え?
そんなんじゃ、そこで働いている人達の生活はどうなるの?
いい指摘ですね!そこで、株式会社HASUNAでは、フェアトレードという仕組みを導入することによってこの問題を解決しました。
いっちー教授
いっちー教授

 

フェアトレードとは

発展途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入することを通じ、立場の弱い途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目指す運動のことを指します。

 

にゃー吉
にゃー吉
なるほど。適切な価格で取引をすることで現地で働いている人たちの労働条件を改善して、そこで働いてくれている人たちが自立した生活ができるように仕組みを整えたんだ。
おっしゃる通りです。
そういった取り組みも社会的企業の一つなんですよ。
いっちー教授
いっちー教授

 

まとめ

最後に今回のテーマである「【わかりやすく】ソーシャルインクルージョンとは?・その具体例を解説」のおさらいをしておきましょう。

1.ソーシャルインクルージョンとは、すべての人々を排除せず、包摂し、共に生きることができる社会を目指す考え方である。

2.ローカルガバナンスとは、地方自治体の意思決定の仕方・方法を様々な主体が一体となって行うという意味がある。

3.地域福祉における住民主体の原則とは、地域住民の解決に向けて住民の自主的な活動への参加や協力及び主体性を大切にした組織化の推進等を重視した考え方を指す。

4.脱施設化とは、児童と高齢者、障がい者などが福祉施設から地域生活に移行していくための取り組みを指す。

5.社会的企業とは、社会問題の解決や改善を図ることを目的にした収益事業を起こすことを指す。

 

にゃー吉
にゃー吉
今回は、社会福祉士国家試験に出題される用語について学習できました!
社会福祉士国家試験では、今回ご紹介した用語についてよく出題されます。なのでぜひ、今回の内容を参考に学習してみてください。
いっちー教授
いっちー教授

 

福祉イノベーションズ大学では、社会福祉士国家試験の合格に向けて試験に出る箇所を中心に、情報発信をしています。

参考書や問題集を解いただけではわからない…。」という方は、今後も参考にしてください!

今回の授業は、以上です!



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