今日も社会福祉士国家試験の合格に向けて一緒に勉強していきましょう!今回のテーマは、「【わかりやすく】社会福祉士は知っておきたい社会指標について」です。では、授業を始めていきましょう。
*今回の記事の構成として、初めに社会指標に関する基本問題を出題します。その後、問題の解答解説を行い、理解が深められる構成になっています。
問)社会指標に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1.社会指標のねらいは、経済的な豊かさを測定することであり、国内総生産(GDP) などがよく用いられる。
2.社会指標とは、客観的な要因を数量化したものにとどまり、主観的評価を反映するものではない。
3.社会指標の狙いはその社会の福祉水準を測定し、政策に活用することにある。
4.社会指標は、個別の分野の目標達成の指標ではなく、総合的な指標として用いられる。
5.社会指標の開発は、2000年代に入り OECDや国際連合などの国際機関を中心に始まった。
答え)3.社会指標の狙いはその社会の福祉水準を測定し、政策に活用することにある。
1限目:社会指標は、その国の様々な分野の指標である
まず初めに、社会指標とは何か?について確認しておきましょう。
選択肢の「1」に注目してください。
1.社会指標のねらいは、経済的な豊かさを測定することであり、国内総生産(GDP) などがよく用いられる。
この選択肢は、不正解です。
社会指標は、必ずしも経済的な豊かさを測定することをねらいとしてはいません。社会指標とは、国内総生産(GDP)などの経済的豊かさを測定するための指標では十分に捉えることができない、「教育」や「福祉」「健康」といった社会の様々な分野における豊かさを測定する指標として登場しました。
2限目:国内総生産(GDP)は「いくら設けたのか?」の合計である
ここでは、国内総生産(GDP)の考え方についてわかりやすく解説していきます。
そもそも、GDPのアルファベットは「Gross(グロス)、Domestic(ドメスティック)、Product(プロダクト)」の頭文字をとったものです。
また、Gross(グロス)の意味は「合計」、Domestic(ドメスティック)の意味は「国内」という意味があり、Product(プロダクト)には「生産」という意味があります。したがって、GDPは「国内総生産(こくないそうせいさん)」と訳されます。
さて、そんな国内総生産(GDP)ですが、一体どういう意味があるのでしょうか。
国内総生産(GDP)とは、一言でいうと「いくら、儲けたのか?の合計金額」のことを指します。
例えば、あなたが近所のお弁当屋さんで唐揚げ弁当(500円)を買ったとしましょう。
また、その唐揚げ弁当の唐揚げやご飯などは農家から買い、お弁当の容器はどこかの製造会社から買っていたとします。そして、唐揚げ弁当を売るためにかかったもろもろの費用の合計金額が200円だったとします。すると、そのお弁当屋の儲けは「500円−200円(=300円)」となります。そして、この300円をもとに、経営者はそこで働く職員の給与を支払います。
またもし、あなたがドラッグストアで風邪薬(3000円)を買ったとしましょう。しかし、その風邪薬を売るためにかかった費用は2000円だったとします。すると、「3000円−2000円(=1000円)」の儲けが発生することになります。そして、このドラッグストアの経営者は、その1000円をもとに、そこで働く職員の給与を支払うことができます。
さらに、あなたが消しゴム(200円)を近所の文房具屋さんで買ったとしましょう。そして、この文房具屋さんは、消しゴムを売るために100円の費用がかかったとします。すると、「200円−100円(=100円)」の儲けが発生します。そして、この100円をもとに、そこで働く職員に給与を支払うことができます。
こうして、日本中の会社のもうけた金額を合計したものが、国内総生産(GDP)です。
もし仮に、日本の会社が、この3社だけだとしたら、「300円+1000円+100円」となり、日本の国内総生産(GDP)は「1400円」としてカウントされます。
国内総生産(GDP)の考え方がよくわかった!
それなら、みんな幸せなんじゃない?
2限目:社会指標=主観指標+客観指標
次に社会指標を考える上での視点について学習していきましょう。
選択肢の「2」に注目してください。
2.社会指標とは、客観的な要因を数量化したものにとどまり、主観的評価を反映するものではない。
この選択肢は、不正解です。
社会指標は、客観指標の側面のみならず、主観指標の側面においても測定されます。
客観指標というのが、国内総生産(GDP)のような「お金」といった数値化しやすいものです。一方で、主観指標とは、「私は、幸せ〜~」「私は、生活が苦しい。」といった個人が感じているものを指します。
じつは、初期の社会指標は、もっぱら客観指標に焦点を当てていました。なぜなら、お金などの数値化しやすいものであれば、社会がどういう状況なのかが測りやすいからです。
しかし、高度経済経済成長期の中で、主観指標がクローズアップされるようになりました。
3限目:社会指標は社会計画に用いられる
次に、社会指標と社会計画の関係性について確認していきましょう。
選択肢の「3」に注目してください。
3.社会指標の狙いはその社会の福祉水準を測定し、政策に活用することにある。
この選択肢は、正解です。
社会指標は、社会計画における応用など政策において活用されることが目指されています。
しかし、そもそも社会計画とは何なのでしょうか。
社会計画とは、政府、地方自治体などが、政策的手段を用いて社会の自然の流れを一定の目標に向けて誘導する行動のことを指す。社会計画は、社会主義諸国はもちろん、資本主義諸国においても、広く一般化したものになってきています。
社会計画の具体例として、各種の経済計画、地域開発計画、多様な社会保障政策、人口政策、教育政策、資源・エネルギー政策などが、これに該当します。
そういった意味では、現代は「計画の時代」といっても過言ではありません。
4限目:社会指標は目標達成・総合的な指標として役割がある
次に、社会指標の役割について確認していきましょう。
選択肢の「4」に注目してください。
4.社会指標は、個別の分野の目標達成の指標ではなく、総合的な指標として用いられる。
この選択肢は、不正解です。
社会指標は、「新国民生活指標」のような総合的な指標として用いられることもあります。
新国民生活指標とは
様々な社会・生活統計を分類、加工して作成した生活統計体系のことを指します。
その一方で、例えば、高等教育、人口、上下水道普及率など、個別分野の目標達成の指標としても用いられることもあります。つまり、社会指標については、次のような関係式が成り立ちます。
社会指標が示す関係式
社会指標=「①総合的な指標」+「②個別分野の目標達成の指標」
だからこそ、社会指標という考え方が重要になってくるんです。
5限目:社会指標の歴史は、意外と長い
最後に、社会指標の歴史について確認していきましょう。
選択肢の「5」に注目してください。
5.社会指標の開発は、2000年代に入り OECDや国際連合などの国際機関を中心に始まった。
この選択肢は、不正解です。
じつは、社会指標の考え方は、結構早い時期に始まっていたとされています。
例えば、国際連合は1960年代に「非貨幣的指標」を用いて、すでに生活水準の国際比較を試みていました。さらに、OECDも1970年以降、加盟国共通の社会指標開発を進めています。
じつは、2019年に、OECDから日本の消費税を26%にしなければ、今後日本が安定した経済基盤を築けないという指摘がありました。
まとめ
最後に今回のテーマである「【わかりやすく】社会福祉士は知っておきたい社会指標について」のおさらいをしておきましょう。
1.社会指標のねらいは、経済的な豊かさを測定することだけでなく、その国の「教育」や「福祉」「健康」といった社会の様々な分野における豊かさを測定する指標として登場した。
2.社会指標とは、客観的な要因を数量化したものだけでなく、主観的評価を反映するものである。
3.社会指標の狙いはその社会の福祉水準を測定し、政策に活用することにある。
4.社会指標は、個別の分野の目標達成の指標であり、総合的な指標としても用いられる。
5.社会指標の開発は、1960年代に、国際連合が「非貨幣的指標」を用いて、生活水準の国際比較を試みていた。
福祉イノベーションズ大学では、社会福祉士国家試験の合格に向けて試験に出る箇所を中心に、情報発信をしています。
「参考書や問題集を解いただけではわからない…。」という方は、今後も参考にしてください!
今回の授業は、以上です!
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