今日も社会福祉士国家試験の合格に向けて一緒に勉強していきましょう!今回のテーマは、「【わかりやすく】福祉施設職員が行う事柄の根拠法・新しい権利を解説」です。では、授業を始めていきましょう。
*今回の記事の構成として、初めに日本国憲法に関する問題を出題します。その後、問題の解答解説を行い、理解が深められる構成になっています。
問)次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1.福祉施設・職員が「利用者が信じる宗教の教典の持ち込みを禁止すること」の適否を考えるにあたって直接の根拠となるものは、憲法13条の人格権やプライバシー権である。
2.福祉施設・職員が「利用者が拒否する作業を強要すること」の拒否を考えるにあたって直接の根拠となるものは、憲法13条の人格権やプライバシー権である。
3.福祉施設・職員が「利用者の承諾なしに施設の案内パンフレットにその顔写真を掲載すること」の適否を考えるにあたって直接の根拠となるものは、憲法13条の人格権やプライバシー権である。
4.福祉施設・職員が「利用者の承諾なしに施設協力費を預かり金から徴収すること」の適否を考えるにあたって直接の根拠となるものは、憲法13条の人格権プライバシー権である。
5.福祉施設・職員が「利用者が施設批判をしたことを理由に退所を求めること」の適否。考えるにあたって直接の根拠となるものは、憲法13条の人格権プライバシー権である。
答え)3.福祉施設・職員が「利用者の承諾なしに施設の案内パンフレットにその顔写真を掲載すること」の適否を考えるにあたって直接の根拠となるものは、憲法13条の人格権やプライバシー権である。
1限目:信教の自由が根拠となるケース
まず、信教の自由が根拠となるケースについて学習していきましょう。
選択肢の「1」に注目してください。
1.福祉施設・職員が「利用者が信じる宗教の教典の持ち込みを禁止すること」の適否を考えるにあたって直接の根拠となるものは、憲法13条の人格権やプライバシー権である。
この選択肢は、不正解です。
設問にある行為の適否を考えるにあたっては、「憲法第20条(信教の自由)」が根拠となると考えられます。したがって、選択肢の「憲法13条の人格権やプライバシー権→憲法第20条(信教の自由)」に直せば正解です。
2限目:奴隷的拘束及び苦役からの自由が根拠となるケース
次に、奴隷的拘束及び苦役からの自由が根拠となるケースについて学習していきましょう。
選択肢の「2」に注目してください。
2.福祉施設・職員が「利用者が拒否する作業を強要すること」の拒否を考えるにあたって直接の根拠となるものは、憲法13条の人格権やプライバシー権である。
この選択肢は、不正解です。
憲法第18条(奴隷的拘束及び苦役からの自由)には、「何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない」と規定されており、利用者が拒否する作業の強要はこの条項に抵触すると考えられます。
3限目:人格権やプライバシー権が根拠となるケース
次に、人格権やプライバシー権が根拠となるケースについて学習していきましょう。
選択肢の「3」に注目してください。
3.福祉施設・職員が「利用者の承諾なしに施設の案内パンフレットにその顔写真を掲載すること」の適否を考えるにあたって直接の根拠となるものは、憲法13条の人格権やプライバシー権である。
この選択肢は、正解です。
現代社会では、情報化社会が進み、プライバシーの権利、肖像権、環境権等の権利性が重要視されるようになりました。また、こういった社会の中で生まれた権利のことを「新しい権利」と呼びます。
そして、設問のような行為は、この「新しい権利」の侵害となると考えられ、「新しい権利」の適否を考えるにあたり、憲法第13条(個人の尊重)が根拠だと考えられています。
特に、プライバシーの権利については注目が集まっているように思えますね。
4限目:財産権が根拠となるケース
次に、財産権が根拠となるケースについて学習していきましょう。
選択肢の「4」に注目してください。
4.福祉施設・職員が「利用者の承諾なしに施設協力費を預かり金から徴収すること」の適否を考えるにあたって直接の根拠となるものは、憲法13条の人格権プライバシー権である。
この選択肢は、不正解です。
憲法第29条(財産権)の第1項には、「財産権は、これを侵してはならない」という規定があります。
設問にある行為の適否を考えるにあたっては、この第29条が根拠となると考えられます。
この問題では、利用者の財産、施設側の財産をわけて考えなければいけません。
5限目:社会福祉法が根拠となるケース
最後に、社会福祉法が根拠となるケースについて学習していきましょう。
選択肢の「5」に注目してください。
5.福祉施設・職員が「利用者が施設批判をしたことを理由に退所を求めること」の適否。考えるにあたって直接の根拠となるものは、憲法13条の人格権プライバシー権である。
この選択肢は、不正解です。
設問の内容は、社会福祉法を根拠にすると考えられ、同法第82条において「社会福祉事業の経営者は、常に、その提供する福祉サービスについて、利用者等からの苦情の適切な解決に努めなければならない」と規定されています。
まとめ
最後に今回のテーマである「【わかりやすく】福祉施設職員が行う事柄の根拠法・新しい権利を解説」のおさらいをしておきましょう。
1.福祉施設・職員が「利用者が信じる宗教の教典の持ち込みを禁止すること」の適否を考えるにあたって直接の根拠となるものは、憲法20条の信教の自由である。
2.福祉施設・職員が「利用者が拒否する作業を強要すること」の拒否を考えるにあたって直接の根拠となるものは、憲法18条の奴隷的拘束及び苦役からの自由である。
3.福祉施設・職員が「利用者の承諾なしに施設の案内パンフレットにその顔写真を掲載すること」の適否を考えるにあたって直接の根拠となるものは、憲法13条の人格権やプライバシー権である。
4.福祉施設・職員が「利用者の承諾なしに施設協力費を預かり金から徴収すること」の適否を考えるにあたって直接の根拠となるものは、憲法29条の財産権である。
5.福祉施設・職員が「利用者が施設批判をしたことを理由に退所を求めること」の適否。考えるにあたって直接の根拠となるものは、社会福祉法第82条である。
福祉イノベーションズ大学では、社会福祉士国家試験の合格に向けて試験に出る箇所を中心に、情報発信をしています。
「参考書や問題集を解いただけではわからない…。」という方は、今後も参考にしてください!
今回の授業は、以上です!
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