今日も社会福祉士国家試験の合格に向けて一緒に勉強していきましょう!今回のテーマは、「【簡単に解説】第一種社会福祉事業、第二種社会福祉事業とは?」です。では、授業を始めていきましょう。
*今回の記事の構成として、初めに社会福祉事業に関する基本問題を出題します。その後、問題の解答解説を行い、理解が深められる構成になっています。
問)次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1.社会福祉事業は、営利事業である。
2.第二種社会福祉事業の経営主体は、社会福祉法人に限られる。
3.社会福祉法人は、自主的に経営基盤の強化を図る必要がある。
4.社会福祉法人は、社会福祉事業と公益事業以外を行ってはならない。
5.一つの市の区域のみを事業の対象とする社会福祉法人の所轄庁は、都道府県知事である。
答え)3.社会福祉法人は、自主的に経営基盤の強化を図る必要がある。
1限目:社会福祉事業は非営利事業である
まず、社会福祉事業とは何か?についてわかりやすく解説していきます。
選択肢の「1」に注目してください。
1.社会福祉事業は、営利事業である。
この選択肢は、不正解です。
そもそも、社会福祉事業とは何でしょうか。
社会福祉事業とは、社会福祉法で定められた、社会福祉を推進するための事業です。
もう少し、わかりやすくご説明します。
そもそも、ある会社(法人)が、なにか事業を行うとき、法人として「こういう事業を行います!」と決めなければなりません。
そして、法人が行う事業の区分のしかたの一つとして、「営利事業(利益を目的とする)」と「非営利事業」の2種類があります。
まず、営利事業について確認しましょう。
営利事業とは、利益を最大化することを目的とする事業を指します。例えば、皆さんが、よく行くスーパー、本屋、電気屋などは、商品を仕入れ、その商品を一つでも多く売ることで、売上を伸ばそうという目的があります。
一方で、非営利事業は、その名の通り、利益を目的としていない事業を指します。そして、そんな非営利事業の一つに、社会福祉事業があります。例えば、老人ホーム、保育所などは、その一例です。
これら老人ホーム、保育所などは、金儲けを目的に活動をしていません。
地域に住む高齢者の生活を支えるための場所、また子どもたちを保育してその成長を後押しし、親御さんの就労を支援することを目的としています。このように、社会福祉の推進のために活動する事業のことを社会福祉事業と呼びます。
なぜなら、利益を出さなければそこで働く職員に給与を支払えませんよね?
ではもし仮に、社会福祉事業が利益を目的とする事業であればどうなるでしょうか?
だからこそ、社会福祉事業は非営利事業として機能しなければならないんです。
2限目:第一種社会福祉事業、第二種事業の違い
次に、第一種社会福祉事業、第二種社会福祉事業についてわかりやすく解説していきます。
選択肢の「2」に注目してください。
2.第二種社会福祉事業の経営主体は、社会福祉法人に限られる。
この選択肢は、不正解です。
正解は、「第二種社会福祉事業は、社会福祉法人以外でも行うことができる。」です。
そもそも、社会福祉事業には、第一種社会福祉事業と第二種社会福祉事業の2つがあります。
※第一種、第二種社会福祉事業については社会福祉法で定められています。
まず、第一種社会福祉事業とは何か?について確認していきましょう。第一種社会福祉事業とは、第二種社会福祉事業よりも、利用者への影響が大きいものだとされています。
具体的には、「入所して生活を送る施設=第一種社会福祉事業」と考えるとわかりやすいです。
○根拠法:生活保護法
・救護施設
・更生施設
○根拠法:児童福祉法
・乳児院
・母子生活支援施設
・児童養護施設
・障害児入所施設
・情緒障害児短期治療施設
・児童自立支援施設
○根拠法:老人福祉法
・養護老人ホーム
・特別養護老人ホーム
・軽費老人ホーム
○根拠法:障害者支援法
・障害者支援施設
また「入所して生活を送る施設」ということは、それだけ利用者への影響が大きいと考えられます。
そのため、第一種社会福祉事業の経営主体は、法律で制限されています。具体的には、国、地方自治体、社会福祉法人しか運営してはいけませんということになっています。
次に、第二種社会福祉事業についてわかりやすく解説していきます。
じつは、第二種社会福祉事業は特に経営主体の制限はありません。そのため、第二種社会福祉事業については、社会福祉法人だけでなく、株式会社やNPO法人が運営しているところも多くあります。
○根拠法:児童福祉法
・保育所
・放課後児童健全育成事業
・乳児家庭全戸訪問事業
・障害児通所支援事業
○根拠法:母子及び寡婦福祉法
・母子家庭等日常生活支援事業
○根拠法:老人福祉法
・デイサービス事業
・認知症対応型老人共同生活援助事業
・小規模多機能型居宅介護事業
○根拠法:障害者自立支援法
・障害福祉サービス事業
・移動支援事業
・一般及び特定相談事業
3限目:社会福祉法人は自主的に経営基盤の強化を図る
次に、社会福祉法人がやるべきことについて確認していきましょう。
選択肢の「2」に注目してください。
3.社会福祉法人は、自主的に経営基盤の強化を図る必要がある。
この選択肢は、正解です。
社会福祉法人は、その経営基盤の強化を図るとともに、その提供する福祉サービスの質の向上及び事業経営の透明性の確保を測らなければならないと社会福祉法で定められています。
ところで、社会福祉法人とは何なのでしょうか。ここで、もう一度確認しておきましょう。
社会福祉法人は、社会福祉事業を実施することを目的とした法人です。
また社会福祉事業は、行政からの補助が事業運営資金になる場合が多いという特徴があります。
そのため、社会福祉法人に対しては行政からの厳しい監査が入ります。しかし、その一方で、施設整備に公的補助が出たり、税制上の優遇措置があったりします。
4限目:社会福祉事業は公益事業・収益事業のどちらも行える
次に、社会福祉事業が行っていい事業について確認しておきましょう。
選択肢の「4」に注目してください。
4.社会福祉法人は、社会福祉事業と公益事業以外を行ってはならない。
この選択肢は、不正解です。
社会福祉法人は、社会福祉事業のほか、その経営する社会福祉事業に支障がない限り、公益事業や収益事業を行うことができるとされています。
公益事業とは
不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するものを指します。
収益事業とは
販売業や製造業等の収益を得るための事業で継続して事業場を設けて行うものを指します。
社会福祉法人は、社会福祉事業、公益事業、収益事業の3点が行えるということを押さえておきましょう。
「不特定かつ多数の者の利益」って部分がわかりにくい。
公園にはどんな人が来るでしょうか?
つまり、公園は誰もが利用してもよい施設ですよね。
「誰でも利用できる=公益事業」と考えればいいんだね!
5限目:社会福祉法人の所轄庁は原則、都道府県知事
最後に、社会福祉法人の所轄庁について確認しておきましょう。
選択肢の「5」に注目してください。
5.一つの市の区域のみを事業の対象とする社会福祉法人の所轄庁は、都道府県知事である。
この選択肢は、不正解です。
社会福祉法人の所轄庁は原則、その主たる事業事務所の所在地の都道府県知事であるとされています。しかし、今回のように、一つの市の区域のみを事業の対象とする社会福祉法人の所轄庁は「市長」だとされています。
社会福祉法人の所轄庁はよく出てくるので注意しておいてください!
まとめ
最後に今回のテーマである「【簡単に解説】第一種社会福祉事業、第二種社会福祉事業とは?」のおさらいをしておきましょう。
1.社会福祉事業は、非営利事業である。
2.第二種社会福祉事業の経営主体は、社会福祉法人に限らない。
3.社会福祉法人は、自主的に経営基盤の強化を図る必要がある。
4.社会福祉法人は、社会福祉事業と公益事業、収益事業を行うことができる。
5.一つの市の区域のみを事業の対象とする社会福祉法人の所轄庁は、市長である。
福祉イノベーションズ大学では、社会福祉士国家試験の合格に向けて試験に出る箇所を中心に、情報発信をしています。
「参考書や問題集を解いただけではわからない…。」という方は、今後も参考にしてください!
今回の授業は、以上です!
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