今日も社会福祉士国家試験の合格に向けて一緒に勉強していきましょう!今回のテーマは、「【わかりやすく解説】雇用・就労の動向と労働施策の概要」です。では、授業を始めていきましょう。
*今回の記事の構成として、初めに雇用・就労に関する基本問題を出題します。その後、問題の解答解説を行い、理解が深められる構成になっています。
問)次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1.ディーセントワークとは、定年退職後に安定的な生活を図ることをいう。
2.ニートとは、若年無業者のことである。
3.ワーキングプアとは、就労できないために貧困状態になることをいう。
4.ワークライフバランスとは、労働時間と賃金の関係は切り離した制度をいう。
5.ホワイトカラーエグゼンプションとは、誰もが仕事と生活の調和のとれた働き方ができる社会を実現することを指す。
答え)2.ニートとは、若年無業者のことである。
1限目:ディーセントワークは働きがいのある人間らしい仕事
まず、「ディーセントワーク」について理解を深めておきましょう。
選択肢の「1」に注目してください。
1.ディーセントワークとは、定年退職後に安定的な生活を図ることをいう。
この選択肢は、不正解です。
ディーセントワークとは、働きがいのある人間らしい仕事の事をいいます。
皆さんは、「働きがいがある!」と思える仕事にはどのようなものがあると思いますか?
例えば、給与が高い、自分の仕事によって助けられている人がいる。「働いていてよかったぁ」と思えるような仕事ですよね。
これらは一見すると、当たり前のことに思えるかもしれませんが、じつはそうではありません。成果規模で見ると、そのような仕事とは全く無縁の仕事をしている人たちが多くいます。
現在、世界では1日当たり2ドル(日本円で換算して、約200円)で生活をしている人たちが22億人いると言われています。また、そういった人達の多くが、「(自分が)働きたい!」と思える仕事に就けているわけではありません。
むしろ、奴隷のように、嫌々働かされている人たちの方がほとんどです。そこで、でてきた考え方が「ディーセントワーク」という考え方です。
2限目:ニートとは若年無業者のことである
では次に、「ニート」について学習しておきましょう。
選択肢の「2」に注目してください。
2.ニートとは、若年無業者のことである。
この選択肢は、正解です。
私たちも、普段の生活の中で「ニート」という単語を使います。また最近では若者を中心に、休みの日などに何もしていない自分の生活のことを「ニート生活」と言っている人がいます。
しかし、これはニートではありません。
ニートについて、次のように定義されています。
若年無業者のことと想定されており、15歳から34歳の非労働力人口のうち通学、家事を行っていないものである。
注目すべきなのは、「15歳~34歳」「非労働力人口」「通学、家事を行っていないもの」という部分です。
社会福祉士国家試験の問題では、これらの用語を言い換えてひっかけてくることがあります。なので、これらの用語はしっかり押さえておいてください。
また年齢は「15歳~34歳」の間であることを押さえておきましょう。
3限目:ワーキングプアとは働いていも生活がギリギリな状態
次に、「ワーキングプア」という用語の意味についてしっかり押さえておきましょう。
選択肢の「3」に注目してください。
3.ワーキングプアとは、就労できないために貧困状態になることをいう。
この選択肢は、不正解です。
ワーキングプアとは、働いてもギリギリの生活さえ維持することが困難な「働く貧困層」のことを指します。ポイントは、「働いていても、生活がギリギリ」という部分です。
つまり、働いていなくて貧困状態にあるという訳ではありませんので、注意してください。
4限目:ワークライフバランスとは仕事と生活の調和を指す
続いて、「ワークライフバランス」という考え方について理解を深めておきましょう。
選択肢の「4」に注目してください。
4.ワークライフバランスとは、労働時間と賃金の関係は切り離した制度をいう。
この選択肢は不正解です。
ワークライフバランスとは、誰もが仕事と生活の調和のとれた働き方ができる社会を実現することという意味を表します。
突然ですが、皆さんは「モーレツ社員」という単語を聞いたことがありますか。モーレツ社員とは、私生活を省みず、会社や仕事に人生を捧げる勢いで仕事をする会社員のことを指します。
近年では、あまり聞く用語ではありませんが、1965年~1969年のバブル世代は経験していた働き方です。当時、自分達の生活よりも、会社のために尽力を尽くすことが美徳だと考えられていた時代がありました。
結果として、私生活は本当にぐちゃぐちゃで、家にいる時間よりも、会社にいる時間の方が長い…ということは日常茶飯事でした。そこで、近年では、ワークライフバランスといって、「仕事と私生活のバランスは整えていこうね。」という考え方にシフトしました。
つまり、ワークライフバランスの考え方が普及してきた背景には、かつてのモーレツ社員のような働き方に対する反省の意味も込められているんです。
5限目:ホワイトカラーエグゼンプションという新しい働き方
最後に「ホワイトカラーエグゼンプション」という考え方について知っておきましょう。
選択肢の「5」に注目してください。
5.ホワイトカラーエグゼンプションとは、誰もが仕事と生活の調和のとれた働き方ができる社会を実現することを指す。
この選択肢は、不正解です。
皆さん、この選択肢の説明文が何を指しているのか分かりますよね?そうです。先ほど確認した「ワークライフバランス」の説明です。
では、ホワイトカラーエグゼンプションとは、どのような考え方なのでしょうか。
ホワイトカラーエグゼンプションとは、労働時間と賃金の関係を切り離した制度のことを指します。
そもそも、日本の働き方とはどのようになっているのでしょうか。
一般的に、日本人の多くの労働者が、国が定めた労働時間のルール(日本の場合は1日8時間、週40時間以内とする労働基準法など)にのっとって働いています。つまり、賃金は「労働時間に応じた額」によって支払われます。
しかしこの仕組みに、ホワイトカラーエグゼンプションを導入すると、対象者はそうしたルールの適用除外(エグゼンプト)になります。
例えば、同じ作業を3時間でできる人と、8時間かかってしまう人がいたとします。
今までの賃金の算出方法だと、8時間かかってしまった人の方が賃金が多くなってしまうということになります。しかし、これっておかしいですよね。
全く同じ作業で、同じクオリティだとすれば、3時間働いている人にだって、8時間働いている人と同等の額をもらう権利があります。
そこで、ホワイトカラーエグゼンプションの考え方では、全く同じ作業で、同じクオリティであれば、「労働時間に関係なく、全く同じく評価をするよ!」というように考えます。
その場合、同じ作業を3時間でできる人と、8時間かかってしまう人に対して、同等の賃金が支払われるようになります。これが、ホワイトカラーエグゼンプションという考え方です。
まとめ
最後に今回のテーマである「【わかりやすく解説】雇用・就労の動向と労働施策の概要」のおさらいをしておきましょう。
1.ディーセントワークとは、働きがいのある人間らしい仕事の事をいう。
2.ニートとは、若年無業者のことと想定されており15歳から34歳の非労働力人口のうち通学・家事を行っていないものと規定されている。
3.ワーキングプアとは、働いてもギリギリの生活さえ維持することが困難な働く貧困層を指す。
4.ワークライフバランスとは、誰もが仕事と生活の調和のとれた働き方ができる社会を実現することを指す。
5.ホワイトカラーエグゼンプションとは、労働時間と賃金の関係を切り離した制度をいう。
福祉イノベーションズ大学では、社会福祉士国家試験の合格に向けて試験に出る箇所を中心に、情報発信をしています。
「参考書や問題集を解いただけではわからない…。」という方は、今後も参考にしてください!
今回の授業は、以上です!
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