今日も社会福祉士国家試験の合格に向けて一緒に勉強していきましょう!今回のテーマは、「【わかりやすく】高額療養費制度とは?対象項目と対象外項目について」です。では、授業を始めていきましょう。
*今回の記事の構成として、初めに高額療養費制度に関する基本問題を出題します。その後、問題の解答解説を行い、理解が深められる構成になっています。
問)次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1.高額療養費の自己負担限度額は、患者の年齢は所得にかかわらず一律に同額である。
2.高額療養費における自己負担額の世帯合算では、被保険者と被扶養者の住所は異なっていても合算できる。
3.高額療養費制度の支給対象には、入院時の食費、居住費、差額ベッド代、先進医療にかかる費用は含まれる。
4.高額療養費の申請を受け付けた場合、受信した月から少なくとも1ヶ月で支給しなければならない。
5.高額療養費の支給申請を忘れていても消滅時効は、特になく、いつでも支給申請をすることができる。
答え)2.高額療養費における自己負担額の世帯合算では、被保険者と被扶養者の住所は異なっていても合算できる。
1限目:高額療養費制度は一定以上の額が後から払い戻しされる制度
まず、高額療養費についてわかりやすく解説していきます。
選択肢の「1」に注目してください。
1.高額療養費の自己負担限度額は、患者の年齢は所得にかかわらず一律に同額である。
この選択肢は、不正解です。
また余談ですが、社会福祉士国家試験の問題では、「一律」などの極端な表現は不正解のことが多いです。なぜなら、ほとんどの法律や制度では、場合分けをして、それぞれの場合に対して適切な対処が取られているからです。
なので、皆さんは「一律」などの表現には敏感になってください。
さて、ここからは、高額療養費制度について理解を深めていきましょう。まず、高額療養費制度についてご説明します。
高額療養費制度とは
同一月に支払った医療費の自己負担額が高額となった場合、一定以上の額について後から払い戻しされる制度を指します。
例えば、病気で長期入院が必要となった場合を考えてみましょう。病気で長期入院が必要になった場合、どうしても自己負担額が高額になってしまうことがあります。
その際、高額療養費制度を利用すれば負担額を大きく減らすことができるかもしれません。
例えば、病気で長期入院が必要となった場合に、医療費の総額が100万円になったとしましょう。
もちろん、100万円なんてすぐに支払える金額ではありませんよね。しかし、私達は何かしらの医療保険に加入しています。そのため、自己負担額が3割になる人が多いです。(もちろん、年齢によって異なります。)したがって、窓口での自己負担額は30万円にまで抑えることができます。
ですが、30万円と言っても、なかなか高額な額ですよね。
しかし、ここで高額療養費制度を使うとどうなるのでしょうか。
もちろん、高額療養費の支給額は、年齢や所得によって異なります。ですが、高額療養費制度を使うことで、約21万円が高額療養費として支給される可能性があります。すると、実際の自己負担額は、9万円(30万円−21万円)で済むことになります。
そういった場合に、この制度が使えると本当に助かります。
*また、この高額療養費制度の自己負担限度額は、「70歳未満」「70歳以上」の年齢で分けられ、さらに所得でも分けられています。したがって一概に、「高額療養費制度で、いくら支給されるのか?」は断言できないんです。
2限目:高額療養費制度は世帯合算が行える
次に、高額療養費制度の対象者について確認していきましょう。
選択肢の「2」に注目してください。
2.高額療養費における自己負担額の世帯合算では、被保険者と被扶養者の住所は異なっていても合算できる。
この選択肢は、正解です。
医療保険の被用者保険は、被保険者と家計を同じくし、実質上の扶養関係にあれば、別居していても被用者保険の被扶養者と認定され世帯合算することができます。
世帯合算とは
医療費の自己負担額が高額療養費の自己負担上限額に達しない場合であっても、同じ世帯にいる方の自己負担額を合算することができる仕組みのことをいいます。
ここで世帯合算について、理解してもらうために例をご紹介しましょう。
今回は、70歳未満の夫婦を例に考えてみます。まず前提として、70歳未満の場合、世帯合算の対象となるのは同一月内、同一世帯内の自己負担額が2万1000円以上の医療費になります。
(70歳以上の方の場合は、2万1000円未満の医療費も合算できます。)
また合算できるのは、同一世帯で、かつ同じ医療保険に加入している場合です。そして、夫と妻が次のような医療費負担を受けたとしましょう。
A病院で入院した夫の場合:
(医療費の自己負担):4万5000円
(総医療費):15万円
B 病院で入院した妻の場合:
(医療費の自己負担額):3万円
(総医療費):10万円
注目すべきなのは、医療費の自己負担額です。
この場合、夫と妻の自己負担額の合計は、4万5000円+3万円で「7万5000円」になります。
また夫の標準報酬月額が26万円以下の場合、1月の自己負担上限額は「5万7600円」になります。
そのため、夫と妻の自己負担額の合計は75000円なので、高額療養費は7万5000円から5万7600円を引いた「1万7400円」となります。そして、この「1万7400円」が高額療養費から支給されることになります。
3限目:高額療養費制度の対象外になるものもある
次に、高額療養費制度の対象になるものを確認しておきましょう。
選択肢の「3」に注目してください。
3.高額療養費制度の支給対象には、入院時の食費、居住費、差額ベッド代、先進医療にかかる費用は含まれる。
この選択肢は、不正解です。
高額療養費制度といえど、医療を受けた際の全てのサービスが対象になるわけではありません。
特に、入院している際の「食費」「居住費」は高額療養費の支給対象には含まれません。また、「差額ベッド代」「先進医療費」についても、高額療養費制度の費用対象に含ませんので注意が必要です。
4限目:高額療養費の支給は受診した月から3か月程度かかる
次に、「高額療養費制度からの支給がいつになるのか?」について確認しておきましょう。
選択肢の「4」に注目してください。
4.高額療養費の申請を受け付けた場合、受信した月から少なくとも1ヶ月で支給しなければならない。
この選択肢は、不正解です。
高額療養費の支給には、受診した月から少なくとも3ヶ月程度かかるといわれています。
一旦、窓口で自己負担額を支払って、3ヵ月後くらいに戻されるといった感じです。
5限目:高額療養費の支給には消滅時効がある
最後に、高額療養費制度の支給を受ける権利期間について確認しておきましょう。
選択肢の「5」に注目してください。
5.高額療養費の支給申請を忘れていても消滅時効は、特になく、いつでも支給申請をすることができる。
この選択肢は、不正解です。
高額療養費の支給を受ける権利には消滅時効があります。それは、診療月の翌月の一日から2年間の期間です。したがって、いつでも申請ができるというものではありませんので、注意が必要です。
まとめ
最後に今回のテーマである「【わかりやすく】高額療養費制度とは?対象項目と対象外項目について」のおさらいをしておきましょう。
1.高額療養費の自己負担限度額は、70歳未満、70歳以上と年齢、所得によって異なる。
2.高額療養費における自己負担額の世帯合算では、被保険者と被扶養者の住所は異なっていても合算できる。
3.高額療養費制度の支給対象には、入院時の食費、居住費、差額ベッド代、先進医療にかかる費用は含まれない。
4.高額療養費の申請を受け付けた場合、受信した月から少なくとも3ヶ月で支給しなければならない。
5.高額療養費の支給申請を忘れていても消滅時効は、診療月の翌月の一日から2年間の期間である。
福祉イノベーションズ大学では、社会福祉士国家試験の合格に向けて試験に出る箇所を中心に、情報発信をしています。
「参考書や問題集を解いただけではわからない…。」という方は、今後も参考にしてください!
今回の授業は、以上です!
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