今日も社会福祉士国家試験の合格に向けて一緒に勉強していきましょう!今回のテーマは、「【わかりやすく】国民年金・厚生年金、日本の年金制度の仕組みとは?」です。では、授業を始めていきましょう。
*今回の記事の構成として、初めに日本の年金制度に関する基本問題を出題します。その後、問題の解答解説を行い、理解が深められる構成になっています。
問)次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1.国民年金の保険者は、日本年金機構である。
2.老齢基礎年金は厚生年金からの拠出である。
3.オイルショックに伴う急激なインフレに対処するため1973年改正により、厚生年金の給付水準を一定期間固定することとした。
4.将来の無年金者の発生を抑える観点から2012年改正により、老齢基礎年金の受給資格期間を25年から10年に縮小した。
5.2014年以降、基礎年金の国庫負担割合を恒久的に1/2とする財源は、所得税と消費税で賄われている。
答え)4.将来の無年金者の発生を抑える観点から2012年改正により、老齢基礎年金の受給資格期間を25年から10年に縮小した。
そこで今回は、日本の年金制度についてわかりやすく解説していきます。
1限目:国民年金の保険者は「国(政府)」である
まず、国民年金の保険者についてわかりやすく解説していきます。
選択肢の「1」に注目してください。
1.国民年金の保険者は、日本年金機構である。
この選択肢は、不正解です。
正しくは、「国民年金(及び厚生年金)の保険者は国(政府)である」です。
ちょっと、なに言ってるかわからない笑
まずは、日本の年金の仕組みを知っておきましょう。
2限目:年金は全部で3種類ある
まず、日本の年金制度について確認していきましょう。そもそも、年金とは何なのでしょうか。
一般的に、私達は年金と聞くと、「高齢者になってからもらえるお金のこと」だと思います。もちろん、それは正しいです。
しかし年金には、次の3種類があります。
年金の3つの種類
①老齢年金→高齢になったときの生活保障
②遺族年金→残された遺族の生活保障
③障害年金→病気やケガで障害状態となったときの生活保障
また年金には、この3種類があるということをしっかり押さえておきましょう。
3限目:日本の年金制度の仕組み(3階建ての構造)である
次に、国民年金・厚生年金についてわかりやすく解説していきます。
その前に、大事なことなのでもう一度確認です。皆さん、年金といえば何がありましたか?
そうです。年金には、「老齢年金、障害年金、遺族年金」の3つがありました。
そして、ここからは、これらの年金がどのような構造でもらえる仕組みになっているのか?についてみていきます。基本的に日本の年金制度は、三階建ての構造になっていると言われています。
それをまとめると、次のようになります。
日本の年金構造(3階建て)
【三階部分:企業年金】→企業によって加入・未加入が異なる
【二階部分:厚生年金】→会社員や公務員は加入
【一階部分:国民年金】→20歳以上の全国民が加入
*国民年金(基礎年金)とは
20歳以上の全国民が加入している年金を指します。
*厚生年金とは
国民年金に上乗せされ、会社員や公務員が受けられる年金のことを指します。
*企業年金とは
厚生年金基金、確定給付企業年金、企業型確定拠出年金などを指します。
三階建ての意味がわからないんだよね。
その段階が、年金を支払う必要がない状態なんだね。
また、上の階に登れば登るほど、窓から見る景色はキレイですよね?
高い場所のほうが、眺めがいいからね!
「一階までしかいけない人はあまりいい景色を見れない=もらえる年金額が少ない」ということだね!
これが、日本の年金の三階建ての構造になります。
4限目:老齢基礎年金は国民年金からの拠出である
次に、老齢基礎年金についてわかりやすく解説していきます。
選択肢の「2」に注目してください。
2.老齢基礎年金は厚生年金からの拠出である。
この選択肢は、不正解です。
そもそも、老齢基礎年金とは何でしょうか。
注目すべきなのは、老齢基礎年金の「基礎年金」という部分です。
じつは、この「基礎年金」という単語は「国民年金(基礎年金)」のことを表しています。したがって、「老齢基礎年金=国民年金(基礎年金)からの拠出」ということになります。
一方で、厚生年金の場合は、「老齢厚生年金」という言葉に変わります。
厚生年金から拠出していれば、老齢厚生年金になるんだね。
下記に、ここまでのことをまとめておきます。
老齢年金について
・国民年金(基礎年金)から拠出している。→老齢基礎年金
・厚生年金から拠出している。→老齢厚生年金
障害年金について
・国民年金(基礎年金)から拠出している。→障害基礎年金
・厚生年金から拠出している。→障害厚生年金
遺族年金について
・国民年金(基礎年金)から拠出している。→遺族基礎年金
・厚生年金から拠出している。→遺族厚生年金
3限目:物価スライド制は1973年に導入された仕組みである
次に、物価スライド制についてわかりやすく解説していきます。
選択肢の「3」に注目してください。
3.オイルショックに伴う急激なインフレに対処するため1973年改正により、厚生年金の給付水準を一定期間固定することとした。
この選択肢は、不正解です。
厚生年金の給付水準を一定期間固定するといった制度改正は行われていません。
また皆さん、「1973年」という年には敏感になってください。この年は福祉元年と呼ばれ、様々な福祉施策が創設されました。
そして、そのうちの一つに、年金制度改正があります。1973年の年金制度改正において、標準年金の給付水準が5万円に引き上げるという内容が盛り込まれました。
これを、「5万円年金」と呼びます。
※1976年には「9万円年金」になります。
また、この制度改正の際に、同時に「物価スライド制」の導入が行われました。
物価スライド制とは
物価が上昇したら納める年金保険料がそれに合わせて上昇する。
その一方で、受け取る年金額も上昇する仕組みを指します。
例えば、現在1000万円の貯蓄があったとします。しかし、もし将来の物価が2倍になるとしたら、その価値は蓄えたときの2分の1ということになってしまいます。
そのため、年金制度では、そのようなリスクを避けるための仕組みが取られているんです。
一昔前、新卒の初任給が3万円という時代がありました。
それじゃ、誰も生活していなけないよ…(汗)
それなら、3万円の初任給でも生活ができそうだね。
それが、物価スライド制の特徴です。
4限目:老齢基礎年金の受給資格は、10年に縮小された
次に、老齢基礎年金の受給資格について分かりやすく解説していきます。
選択肢の「4」に注目してください。
4.将来の無年金者の発生を抑える観点から2012年改正により、老齢基礎年金の受給資格期間を25年から10年に縮小した。
この選択肢は、正解です。
2012年の改正から、老齢基礎年金の受給資格期間が「25年→10年」に短縮することが規定されました。
逆に受給期間を満たしていない場合は、老齢基礎年金は受け取ることができません。
6限目:国民年金の国庫負担は、所得税、消費税、法人税、国債
次に国民年金の国庫負担について確認しておきましょう。
選択肢の「5」に注目してください。
5.2014年以降、基礎年金の国庫負担割合を恒久的に1/2とする財源は、所得税と消費税で賄われている。
この選択肢は、不正解です。
国民年金(基礎年金)の財源には、国の一般会計からの受け入れ(国庫負担)が含まれます。つまり、皆さんが支払っている保険料だけで賄われているわけではないということです。
また、「一般会計」という単語は聞き覚えありませんよね。
一般会計とは
「一般的な行政にかかる経費を扱うもの」を指します。
例えば、水道や公園などの公共事業や社会保障など、通常の行政事業の範囲で毎年必要となるような経理のことを意味します。
また、この一般会計の歳入は、「所得税」「消費税」「法人税」「国債」などで構成されています。そのため、所得税と消費税のみで国庫負担が賄われているわけではありませんので注意が必要です。
まとめ
最後に今回のテーマである「【わかりやすく】国民年金・厚生年金、日本の年金制度の仕組みとは?」のおさらいをしておきましょう。
1.国民年金の保険者は、国(政府)である。
2.老齢基礎年金は国民年金(基礎年金)からの拠出である。
3.オイルショックに伴う急激なインフレに対処するため1973年改正により、厚生年金の給付水準を一定期間固定という改革は行われていない。
4.将来の無年金者の発生を抑える観点から2012年改正により、老齢基礎年金の受給資格期間を25年から10年に縮小した。
5.2014年以降、基礎年金の国庫負担割合は、「所得税」「消費税」「法人税」「国債」などで構成されている。
福祉イノベーションズ大学では、社会福祉士国家試験の合格に向けて試験に出る箇所を中心に、情報発信をしています。
「参考書や問題集を解いただけではわからない…。」という方は、今後も参考にしてください!
今回の授業は、以上です!
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