どうすれば、人って幸せを感じられるんだろう?
私達は、誰しもが幸せになりたいと願っています。しかし、「幸せってどうすれば感じられるの?」「幸せかどうかなんて、人によって違うでしょ?」と思う方が多いと思います。
そこで今回のテーマは、こちらですね。
【書評】「実践ポジティブ心理学」の完全まとめ。学びと考えたこと/前野隆司
この記事を読めば、あなたは幸せになるための方法について学ぶことができます。詳しい内容は、「実践 ポジティブ心理学 幸せのサイエンス (PHP新書)」を手に取り、実際に読んでみてください。
幸せについて考えてみたい人は、必ず役に立つ一冊です。
また本書は、「Kindle Unlimitedへの無料登録」でも読むことでできます。(2021月2月26、現在)
著者のプロフィール:前野 隆司
まず、本書の著者である前野隆司さんについてご紹介します。
・東京工業大学卒、同大学院修士課程修了。
・キヤノン株式会社勤務、カリフォルニア大学バークレー校客員研究員、ハーバード大学客員教授、慶應義塾大学理工学部教授などを経て、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授。博士(工学)。
・研究分野は、ヒューマンマシンインターフェースから、幸福学、感動学、共感学、イノベーション教育、コミュニティデザインまで、幅広い
プロフィールからわかるように、前野さんはバリバリの理系です。そのため、研究データをもとに物事を理論建てて説明することに長けています。だからこそ、この一冊はポジティブ心理学を学ぶのにとても良書なんです。
1.日本人は世界一不安になりやすい民族
2.マインドフルネスの重要性
3.「three good things」で幸せに近づける
実践ポジティブ心理学を読んだ学び
日本人は世界一不安になりやすい民族
全然知らなかった(笑)
本書の中で、次のような記述があります。
日本人は世界一不安になりやすい民族だという説があります。
日本人は不安遺伝子と呼ばれる「セロトニン・トランスポーターSS型」を持っている人が多いからです。セロトニン・トランスポーターとは、脳内神経伝達物質であるセロトニンの量を調節している遺伝子です。セロトニンは人の気分に影響を与える働きがあるため、不足すると不安を感じるようになったり、うつ病になったりしやすいと言われています。
~略~
実に、日本人の六五%がSS型の遺伝子を持っています。ちなみに、アメリカ人のSS型はわずか一九%。LL型は三二%です。日本人のLL型は三・二%なので、一〇倍も差があります。
※LL型の人は、前向きな人が多く、どんなに苦しいときでも、ポジティブに対応する能力が高い傾向にあります。
つまり、よく勘違いされますが、日本人が不安になったり、うつ病を発症しやすいのは、その人のメンタルが弱いからではありません。私達日本人は、セロトニン・トランスポーター遺伝子(SS型)の影響により、不安を感じやすかったり、うつ病になりやすいといった特徴を持っているんです。
では、どうすれば日本人は、このような特徴を持っている中でも幸せを感じられるようになるのでしょうか。それが、この本のメインメッセージです。
マインドフルネスの重要性
でも、具体的にどういうものかがよくわからない。
マインドフルネスについて、本書の中では次のように述べられています。
私がマインドフルネスについて説明するときは、過去のことをくよくよと後悔したり、未来のことを心配して不安になったりするのではなく、今ここに心を集中して幸せを味わうことだと言っています。
たとえば今、目の前にあるお茶をゆっくり味わって飲むことに集中するとします。すると、「お茶のいい香りがするな」とか「味わいが口の中にふわあっと広がっていくな」などお茶そのものに意識を集中するため、飲んでいる間は過去の嫌なことや未来の不安を忘れて幸せを感じることができます。
本書を読む前の私は、「マインドフルネスって、難しい行為なんだろうなぁ〜」と思っていました。しかし、本書を読んでから、マインドフルネスとはすごくシンプルな状態を指すのだと知りました。注目すべきは「今、ここに心を集中させる」ということです。
勉強するときは、勉強に意識を集中させる。
ご飯を食べるときは、ご飯を食べることに意識を集中させる。
運動をしているときは、運動に意識を集中させる。
これらのことが、「マインドフルネスを実践している」ということなんです。
しかし一方で、私達の不安をかきたてるものもあります。それが、「マインドレス」と呼ばれる状態です。本書の中で、マインドレスについて次のような説明があります。
このようなマインドフルな状態とは逆の状態を「マインドレス」といいます。マインドレスとは、注意が散漫で心が過去や未来をさまよっている状態や、ぼんやりしていて集中力がない状態です。たとえば明日締め切りの仕事があったら、「どうしよう。このままだと間に合わない、今夜は徹夜かもしれない」と、考えても仕方のないことを心配し過ぎてしまったり、「あのとき、あんな余計ことを言わなければよかった」とすでに起こってしまったことを後悔して延々と考えてしまったりする状態です。このとき、頭の中では思考がさまよい、心ここにあらずの状態になり、意識は今ここに集中できていません。
この説明を読んだとき、「あぁ、たしかにこういうことあるなぁ〜。」と思いました。むしろ、私が不安に感じるときは、一つの物事に集中しきれておらず、注意があちこちに散っている時だと気付くことができました。
皆さんは、どうですか?
例えば私の場合、会社で嫌なことがあったときにその嫌なことを忘れられずに家に帰ってくることがあります。すると、家で食器を洗っていても、食事を作っていても、お風呂に入っていても、会社での出来事ばかりを考えてしまいます。そのため、「会社に出社するのが嫌だ…。」「家にいても全然休めない…。」ということがしばしばあります。
「three good things」で幸せに近づける
「three good things」は、幸せな状態を作るための実践的な方法です。
「three good things」について本書では、次のように述べられています。
まずはポジティブ心理学で一番有名な「three good things」というエクササイズを紹介しましょう。このエクササイズを考案したのは、ポジティブ心理学の創始者であるセリグマンです。「three good things」は、「毎晩寝る前に、その日あった『三つの良いこと』を書き出し、これを一週間続ける」というもの。 セリグマンは、このエクササイズをうつ状態の人に試しました。その結果、一週間続けるだけで、その後半年間にわたって幸福度が向上するという結果を得ました。
セリグマンはこのエクササイズの効果を調べるため、被験者を、「三つの良いこと」を書いたグループと何もしなかったグループに分けて、エクササイズ実施前後に「「幸福度」テストを受けてもらい、比較調査を行いました。それによると、「三つの良いこと」を書いたグループの幸福度スコアは五六(プレテスト)から五七(ポストテスト)へ、さらに一週間後には五八、一カ月後には五九と日を追って増え続けています。これらの結果から、この簡単な方法が幸福度アップに驚くべき効果を発揮したことがわかりました。
でもこれって、うつ病の人にとっては効果的だったって話でしょ?
セリグマンは、うつ病ではない人にも同じことをやってもらったそうです。
その後セリグマンは、「三つの良いこと」を書き出すエクササイズは、うつではない普通の人にも同じような効果があるのではないかと考えて試しています。すると、うつの人に試したときと同じように、幸福度が上がったのです。「三つの良いこと」を書き出すエクササイズは、嫌な出来事に対する認知を変える力があります。人は一日の終わりにその日を振り返るとき、その日いろいろなことがあったにもかかわらず、今日あった嫌なことに焦点を当ててしまい、そのことで頭がいっぱいになってしまう傾向があります。そうして嫌なことにばかり目がいってしまうと、その日にいいことが一〇個あって、嫌なことは二個だったとしても、その日は嫌な日だったと認知してしまいます。
このことから「three good things」は、うつ病の人だけでなく、そうでない人にも効果的だとわかりました。また私は一日の最後に、「その日にあった嫌なことに目が行きがちだ。」ということについて納得がいきました。たしかに、私自身も一つでも嫌なことがあれば、その日一日はすべて嫌な日になってしまうことがあります。
しかし、よくよく考えてみれば、そんな日であっても、良いことはたくさんあります。そういった意味でも「three good things」を実践することは、その日あった良い出来事に意識が向く癖を作り、幸せを感じる頻度が増えるのかもしれません。
いっちー教授の考えたこと
最後に、本書全体を通して、私(いっちー教授)が考えたことについて述べ、終わりにします。
ポジティブ心理学については、学生時代から大学の教授が凄く押していてたので興味はありました。しかし当時は、ポジティブ心理学と聞いても余りピンときませんでした。ですが本書を読んで、ポジティブ心理学に対する考え方が変わりました。特に、私は本書に書かれているポジティブ心理学の内容を一緒に働く仲間に実践してもらいたいと感じました。
特に、福祉で働く現場の職員は、対人サービスがメインです。そのため、不満や不安に感じることが多くなってしまう傾向にあります。私自身、仕事から帰ってくると仕事での不満や不安でいっぱいになることがあります。また職場で同僚の話を聞いていても、やはり似たりよったりです。
だからこそ、本書に書いてあることを実践し、そういったネガティブな気持ちを払拭できたらと思いました。特に、マインドフルネス、three good thingsは必ず実践してもらいたいことの一部です。もしあなたの職場で、メンタルが落ち込んでいる職員がいたら、本書を紹介しても良いですし、本書の内容をあなたが説明するのも良いかもしれません。
「自分のメンタルの状況=利用者への対応」になりがちですからね。
実践ポジティブ心理学のまとめ
最後に、「実践 ポジティブ心理学 幸せのサイエンス (PHP新書)」の3つの学びを確認しておきましょう。
1.日本人は世界一不安になりやすい民族
2.マインドフルネスの重要性
3.「three good things」で幸せに近づける
今回ご紹介した内容は、本書の中の本の一部にすぎません。なので、ぜひ皆さんも、「実践 ポジティブ心理学 幸せのサイエンス (PHP新書)」を手にとって読んでみてください!
今回は、以上です。
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