今日も社会福祉士国家試験の合格に向けて一緒に勉強していきましょう!今回のテーマは、「【わかりやすく】エスピン・アンデルセンの福祉レジーム理論を解説」です。では、授業を始めていきましょう。
*今回の記事の構成として、初めにエスピン・アンデルセンのレジーム理論に関する問題を出題します。その後、問題の解答解説を行い、理解が深められる構成になっています。
問)次の記述のうち、正しいものを2つ選びなさい。
1.エスピン・アンデルセンの「レジーム」理論では、福祉レジーム概念は、福祉国家を比較研究することから生まれた。
2.エスピン・アンデルセンの「レジーム」理論において、脱家族化とは、単身世帯の増加のことである。
3.エスピン・アンデルセンの「レジーム」理論において、脱商品化とは、労働者が労働能力を喪失することである。
4.エスピン・アンデルセンの「レジーム」理論では、福祉国家は、社会的階層化のパターン形成に重要な役割を演じる。
5.エスピン・アンデルセンの「レジーム」理論では、雇用・労働市場は、福祉レジームのあり方に影響しない。
答え)1.エスピン・アンデルセンの「レジーム」理論では、福祉レジーム概念は、福祉国家を比較研究することから生まれた。
答え)4.エスピン・アンデルセンの「レジーム」理論では、福祉国家は、社会的階層化のパターン形成に重要な役割を演じる。
0限目:エスピン・アンデルセンのレジーム理論
問題の解説の前に、予備知識を入れておきましょう。
今回は、エスピン・アンデルセンのレジーム理論です。
社会学者エスピン・アンデルセンは、レジーム理論という理論を提唱しました。この理論は、福祉の生産が、市場、国家、家族間でどのように配分されているのかに注目する理論です。またその中で、福祉レジームの三類型として「自由主義」「保守主義」「社会民主主義」の3つに分け提唱しています。
①自由主義レジーム
②保守主義レジーム
③社会民主主義レジーム
0限目-1: 自由主義レジームとは
さて先述では、エスピン・アンデルセンのレジーム理論の3類型をご紹介しました。
ここではもう少し詳しく、それぞれの内容を学習していきましょう。
まず、レジーム理論の3類型のうち「自由主義レジーム」についてです。
自由主義的な福祉レジームとは、アメリカをはじめとするアングロ・サクソンの国々で多くみられる考え方です。ざっくり、特徴をあげると次のような特徴があります。
①小さな国家
②リスクの個人責任
③市場中心の問題解決に向けた政治的取り組み
0限目-2:保守主義レジームとは
次に、保守主義レジームについて学習していきましょう。
保守主義レジームとは、日本やドイツなどの南欧諸国などの国で多く見られる考え方です。特徴として、職域別に分割された社会保険制度と家族主義の考え方が根底にあります。また保守主義では、「貢献原則」に基づく社会保険制度が職能別に編成され、労働者の雇用関係やどのような産業、企業で働くかで、加入する保険制度が異なるのが特徴です。
0限目-3:社会民主主義レジームとは
最後に、社会民主主義レジームについて学習していきましょう。
社会民主主義レジームとは、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、フィンランドといった北欧諸国にみられ、様々な福祉サービスの提供が普遍主義的に行われ、市民権に基づいた考え方を指します。また社会民主主義は、自由主義と対照的に、国家が福祉サービスを提供する重要な主体とされ、福祉の市場への依存から脱却が図られ、平等主義が追求されるという特徴があります。
この社会民主主義レジームの特徴も押さえておきましょう。
1限目:福祉国家の類型化と国際比較
まず、エスピン・アンデルセンが提唱した福祉概念について学習していきましょう。
選択肢の「1」に注目してください。
1.エスピン・アンデルセンの「レジーム」理論では、福祉レジーム概念は、福祉国家を比較研究することから生まれた。
この選択肢は、正解です。
エスピン・アンデルセンは、福祉国家それぞれが発展したプロセスや、その国における福祉の供給主体等を幅広く捉えて福祉国家の類型を示し、国際比較を行いました。
2限目:脱家族化という考え方
次に、エスピン・アンデルセンが提唱した「脱家族化」という考え方について学習していきましょう。
選択肢の「2」に注目してください。
2.エスピン・アンデルセンの「レジーム」理論において、脱家族化とは、単身世帯の増加のことである。
この選択肢は、不正解です。
脱家族化とは、家族への依存を軽減することを指します。
具体的には、エスピン・アンデルセンは、政府あるいは市場を活用することによって、商品化される以前の労働力(家事や介護など)をどの程度まで軽減することができるかを示す尺度として、脱家族化を提唱しました。
3限目:脱商品化という考え方
次に、脱商品化という考え方について学習していきましょう。
選択肢の「3」に注目してください。
3.エスピン・アンデルセンの「レジーム」理論において、脱商品化とは、労働者が労働能力を喪失することである。
この選択肢は、不正解です。
脱商品化とは、労働者が労働から離脱をしても、生活水準を維持できるかどうかを示す尺度を指します。
またエスピン・アンデルセンは、脱商品化等を指標として、福祉国家を分類していると言われています。
4限目:福祉国家という考え方が意味するもの
次に、福祉国家という考え方が意味するものを学習していきましょう。
選択肢の「4」に注目してください。
4.エスピン・アンデルセンの「レジーム」理論では、福祉国家は、社会的階層化のパターン形成に重要な役割を演じる。
この選択肢は、正解です。
福祉国家が、国民生活の安定を図るために取り組んでいる社会保障政策などは、各階層に応じた給付で行われるのが特徴です。したがって、福祉国家は、社会の中に階層を生み出したり、固定化したりする働きをしていると言い換えることができます。
たしかに福祉国家が行っている社会給付は、階層ごとに応じた給付が特徴なんだね。
5限目:レジーム理論の3類型に影響を与えたもの
最後に、エスピン・アンデルセンのレジーム理論の3類型に影響を与えたものについて学習していきましょう。
選択肢の「5」に注目してください。
5.エスピン・アンデルセンの「レジーム」理論では、雇用・労働市場は、福祉レジームのあり方に影響しない。
この選択肢は、不正解です。
福祉国家の差異や多様性は、その国の労働環境や文化などから多くの影響を受けています。
またエスピン・アンデルセンは、福祉レジームを雇用・労働市場、文化や歴史などを背景として、類型化しました。
冒頭で確認した3つの類型は、これらの影響を受けて構成されているんだね。
まとめ
最後に今回のテーマである「【わかりやすく】エスピン・アンデルセンの福祉レジーム理論を解説」のおさらいをしておきましょう。
1.エスピン・アンデルセンの「レジーム」理論では、福祉レジーム概念は、福祉国家を比較研究することから生まれた。
2.エスピン・アンデルセンの「レジーム」理論において、脱家族化とは、家族への依存を軽減することを指す。
3.エスピン・アンデルセンの「レジーム」理論において、脱商品化とは、労働者が労働から離脱をしても、生活水準を維持できるかどうかを示す尺度を指す。
4.エスピン・アンデルセンの「レジーム」理論では、福祉国家は、社会的階層化のパターン形成に重要な役割を演じる。
5.エスピン・アンデルセンの「レジーム」理論では、雇用・労働市場は、福祉レジームのあり方に影響する。
福祉イノベーションズ大学では、社会福祉士国家試験の合格に向けて試験に出る箇所を中心に、情報発信をしています。
「参考書や問題集を解いただけではわからない…。」という方は、今後も参考にしてください!
今回の授業は、以上です!
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