今日も社会福祉士国家試験の合格に向けて一緒に勉強していきましょう!今回のテーマは、「【わかりやすく】市民後見人制度が注目される背景とは?」です。では、授業を始めていきましょう。
*今回の記事の構成として、初めに市民後見人制度に関する基本問題を出題します。その後、問題の解答解説を行い、理解が深められる構成になっています。
問)次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1.地方裁判所は、市民後見人を選任する。
2.市民後見人は、一定額以上の所得税を納めた市民に限られる。
3.今後、増加する認知症の人の福祉を増進する観点から、市町村に対して市民後見人の育成及び活用を求めている。
4.市民後見人は、弁護士、社会福祉士などの専門職による指示に基づいて業務を行う。
5.市民後見人による後見開始にあたり、被後見人は市民後見人と契約を締結しなければならない。
答え)3.今後、増加する認知症の人の福祉を増進する観点から、市町村に対して市民後見人の育成及び活用を求めている。
なので今回は、市民後見人についてわかりやすく解説していきます。
1限目:市民後見人の選任は家庭裁判所が行う
まず、市民後見人の選任を行う機関について確認していきましょう。
選択肢の「1」に注目してください。
1.地方裁判所は、市民後見人を選任する。
この選択肢は、不正解です。
市民後見人については、市町村が主体となり、市民後見人候補者を家庭裁判所に推薦し、家庭裁判所が市民後見人として選任することになっています。そのため、「地方裁判所→家庭裁判所」に直せば正解です。
ですが、そもそも市民後見人とは何なのでしょうか。
市民後見人とは、その名の通り一般市民による成年後見人のことを指します。つまり、親族による後見人(親族後見人)でもなく、弁護士や司法書士などの専門職による後見人(専門職後見人)でもない、同じ地域に住む全く関係のない市民による後見人ということになります。
もう少し詳しく説明します。
市民後見人とは、市区町村等が実施する養成研修を受講するなどして、成年後見人等として必要な知識を得た一般市民の中から家庭裁判所が成年後見人等として選任した人となります。
では次に、市民後見人が注目されてきた背景を確認しておきましょう。
2限目:市民後見人が注目されるようになった背景
では、なぜ市民後見人に注目されるようになったのでしょうか。
その背景には、身寄りのない高齢者の存在があります。
身寄りのない高齢者の場合、後見の必要があっても身近な親族に頼むことができません。
このように、市区町村長がやむなく成年後見を申し立てることを「首長申立」と呼びます。
(ここ、社会福祉士国家試験によく出題されます。)
ところが、この首長申立の場合、後見人となる候補者の選定に問題があります。その問題は、「成年後見人に対する報酬」です。
たしかに、弁護士や司法書士などの専門職を後見人の候補者として申立てを行うことは可能です。しかし、首長申立となるケースではその際に必要となる報酬を十分に支払うことができない場合が多いため、実際には専門職を候補者として申立てを行うことが困難なのが現状です。
そこで、報酬が不要であることを前提にしている市民後見人と呼ばれる人達に注目しました。
3限目:市民後見人になるための要件
次に、市民後見人になるための要件について確認していきましょう。
選択肢の「2」に注目してください。
2.市民後見人は、一定額以上の所得税を納めた市民に限られる。
この選択肢は、不正解です。
選択肢のように、市民後見人の要件に、一定額以上の所得税の納付の規定はありません。
では、そもそも市民後見人にはどうすればなれるのでしょうか。
まず、市民後見人になるためには各市区町村が行っている市民後見人養成講座を受講する必要があります。この養成講座のカリキュラム内容には、成年後見制度だけでなく、高齢者施策、実務、レポート提出など40弱のテーマで実施され、50時間ほどの講座になっています。
だからこそ、成年後見人のなり手不足が叫ばれているんです。
4限目:市民後見人が創設された目的
次に、市民後見人が創設された目的について確認していきましょう。
選択肢の「3」に注目してください。
3.今後、増加する認知症の人の福祉を増進する観点から、市町村に対して市民後見人の育成及び活用を求めている。
この選択肢は、正解です。
市民後見人の育成及び活用については、市町村が主体となり、地域の後見ニーズの実態把握及び家庭裁判所及び社会福祉士等の専門職の団体等と連携を図り、協議を行うことなどが重要であるとされています。
5限目:市民後見人が行う業務
次に、市民後見人が行う業務について確認しておきましょう。
選択肢の「4」に注目してください。
4.市民後見人は、弁護士、社会福祉士などの専門職による指示に基づいて業務を行う。
この選択肢は、不正解です。
選択肢のように、市民後見人は専門職による指示に基づいて業務を実施することは、定められていません。
しかし、市民後見人が業務を適正・円滑に実施できるよう専門職などから支援を受けられるような体制の整備が重要であると考えられています。
6限目:市民後見人の利用について
最後に、市民後見人の利用について確認しておきましょう。
選択肢の「5」に注目してください。
5.市民後見人による後見開始にあたり、被後見人は市民後見人と契約を締結しなければならない。
この選択肢は、不正解です。
選択肢のように、市民後見人による後見開始にあたり、被後見人と市民後見人との間に契約を締結しなければならないという規定はありません。
やっぱり無報酬なのに研修内容が大変だと、みんなやりたがらないんじゃない?
市民後見人を普及させるために考えなければならない問題の一つですね。
まとめ
最後に今回のテーマである「【わかりやすく】地域包括支援センターの役割とは?何をする場所?」のおさらいをしておきましょう。
1.家庭裁判所は、市民後見人を選任する。
2.市民後見人になるために、所得税の納付額は一切関係ない。
3.今後、増加する認知症の人の福祉を増進する観点から、市町村に対して市民後見人の育成及び活用を求めている。
4.市民後見人は専門職による指示に基づいて業務を実施することは、定められていない。
5.市民後見人による後見開始にあたり、被後見人と市民後見人との間に契約を締結しなければならないという規定はない。
福祉イノベーションズ大学では、社会福祉士国家試験の合格に向けて試験に出る箇所を中心に、情報発信をしています。
「参考書や問題集を解いただけではわからない…。」という方は、今後も参考にしてください!
今回の授業は、以上です!
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